天地天愕

第2話

●プロローグ

ダーク・シャッフルの名乗りを受ける一同
その中に現れるストーカー

ストーカー「皆さん、これは驚きです!
ガンダムファイト決勝トーナメントの初戦を明日に控えたファイターたちの前に、
突如現れたダーク・シャッフル!
果たして世界に起きた異変と何か関係があるのか?!
そして、彼らは何の目的でこのガンダムファイトに現れたのか?
どう見ても大会に参加しようなどと思ってもいないのは明らかです………」

怪しく光るダーク・シャッフルの五人の目

ストーカー「それでは皆さん!
ガンダムファイト、レディー・ゴーォォォオオオオ!!!!!!!」

●闘技場

ダーク・シャッフルの前で唖然としている一同

ドモン「ダーク・シャッフルだと?!」
チボデー「ドモン、知ってるのか?」
ドモン「いや、俺も初めて聞く!」

半ば唖然とダーク・シャッフルをみる一同

ドモン「そうだ!師匠!あんたなら知ってるはずだ!!」

平然としている東方不敗に問いただすドモン

東方不敗「はっ!こんな時だけ師匠呼ばわりか?」
ドモン「う………」

痛いところを突かれるドモン

東方不敗「まぁ、いい………確かにお前には何も伝えてはおらなんだからな」

苦笑いでダーク・シャッフルを睨む東方不敗

東方不敗「やはり、先日来の世界各地の異変はダーク・シャッフルの仕業であったか……」
ダークたち「ほほう………お主は先代のキング・オブ・ハート………ならば我らの目的は承知であるな?」
東方不敗「勿論………とはいえ、紋章を譲って引退の身ではあるが、シャッフルの裏を忘れた訳ではない」
ドモン「シャッフルの裏だって?それはどういう事だ?!」
東方不敗「うるさい!今教えてくれる!!」

ドモンを一喝しつつ、ダーク・シャッフルの前に歩み出る東方不敗

東方不敗「良いか!?我らシャッフル同盟の役目とは《世界の秩序を正す事》!………それを目的とし、長い歴史の影として代々さまざまな武闘家たちがその五つの席に座してきた………だがな、過去の人類の存亡を賭けた大戦のように、決して全てを満足な解決に導けたとも限らんのだ………」
ドモンたち「………………」

聞き入るドモンたち一同

東方不敗「そしていつしかシャッフルたちは自分に問いただす様になった………果たして自分たちに、あるいは自分の後任たちにシャッフルとしての資格は本当にあるのか?とな………」
ドモンたち「シャッフルとしての資格………」

自分たちの紋章を見るドモンたち現シャッフル

東方不敗 「そして、いつしかその憂いを残したシャッフルたちは、現在のシャッフルにその重き任務を背負え切れるのか?間違いは冒さないのか?その資格と力を問い正すため、蘇り現れるようになったのだ!!」

ダーク・シャッフルに睨み対峙する東方不敗

ドモン「そ、それじゃ??この五人が??」
ダークたち「さよう!!我らはダーク・シャッフル!
キング・オブ・ハートよ!!お前たち五人が誠にシャッフルとしての資格と力を持ち、世界を正しく導く事ができるのか?それを試しに過去から蘇ったのだ!!」

×   ×   ×

朽ち果てたボクシング会場に立ち上がるボクサー
古びた墓地の一角、その墓石に悲しげに寄り添う女性騎士
無人と化した古寺、そのお堂の中で一人の僧が座禅をしている
遥か上空の宇宙を漂い流れる宇宙服の男
それぞれが蘇る姿

×   ×   ×

東方不敗「元来、シャッフルのメンバーが全員入れ替わったタイミングで現れるのが通例であったが、お前たちはキング・オブ・ハート以外、一度に全員が入れ替わった、その異常事態に様子を伺っていたのだろう」

×   ×   ×

新宿で紋章を渡す先代のシャッフルたち

×   ×   ×

チボデー「そして今、俺たちの資格を正すために………??」
ジョルジュ「黄泉の世界から蘇った………??」
アルゴ「そんなバカな………」
サイ・サイシー「勘弁してくれよ〜〜〜おいら怖いのは苦手なんだ〜〜〜」

息を呑むチボデーたち
サイ・サイシーは幽霊関係が怖く半分真面目に震えている

ダークたち「はっはっはっ、そこの若いの、怖がる必要はない」
「決して恨みがあってのことではない」

サイ・サイシーを優しくなだめる五人

サイ・サイシー「本当?」
ダークたち「あぁ、だがな………裁きは受けてもらうぞぉぉおおお!!!!!!!」
サイ・サイシー「ほら、やっぱりぃぃぃいいい〜〜〜!!!」

豹変する五人に震えるサイ・サイシー

ドモン「お前たち何をする気だ?!」

サイ・サイシーを庇う様に出るドモン

五人たち「勿論、我々と戦ってその力を見せてもらうのみ」
「聞けば、この世ではガンダムファイトとやらで世界の覇権を決めていると聞く」
「なるほど、それぞれの技術と実力で世界の優劣を図る」
「それ自体は一概に悪くはない」
「唯一の問題として民間人への被害の問題が残るが」
「それ以外は、平和な戦争とはよく言ったものだ」
「だがな、その競い争うの代表者の中にシャッフルがいる!」
「それは我らの《不介入》の大原則を侵す事!!」
「これを黙って見逃せようか!?」
「故に我らの手でお主たちシャッフルの資格を問いただす事にした!!」
「委細申立てあらば、拳で聴こう!!」
「いざ!!」

ダークたちの合図で、開会式式場の外に五つの闘技場が現れる

驚くレインたち一同

レイン「そんな!?わざわざ試合場を??」
ナスターシャ「こんな仕掛けをいつの間に??」
東方不敗「ふん………ウォンの奴だな………」

苦笑いを浮かべているウォンを見る東方不敗

東方不敗「何を企んでおるのか………まあいい、じっくりと見せてもらおう」

×   ×   ×

ウォン「ええ、私こそ見せていただきますよ………東方先生、あなたが本当に私の計画に必要な方か………」

ダークの一人を見るウォン

ウォン「私に必要なのは、より強いお方………ことによっては先生と入れ替わりもありかと………」

不敵な笑みを浮かべるウォン

×   ×   ×

コーナーポストからそれぞれの闘技場に飛び移るダークたち

ダークたち「さぁ、シャッフル同盟の者たちよ!!」
「この戦いの場に来たれ!!」

シャッフルに呼びかけるダークたち

サイ・サイシー「冗談じゃないよ!!こっちには明日からのファイトがあるんだ!!それを前に遊んでられるかっての!!」
ナスターシャ「その通りだ!!我が国はシャッフルの都合など知らん!!」
チボデー「第一、俺たちは新宿で突然シャッフル同盟の連中に襲われて、何も知らないまま一方的に紋章を渡されたんだ!!」
ジョルジュ「そうです!誰も望んではいませんでした!!」
サイ・サイシー「なのに、何か俺たちが悪い事してるみたいに言われたってさ!」
ナスターシャ「もしシャッフルの掟を裏切った者がいるとすれば、そこにいる東方不敗であろう!奴は《不介入》どころか、前回大会で自らガンダムファイトに参戦し、優勝までしている!!それを代替わりした者に言いがかりをつけるのは筋が違う!!」

東方不敗を示すナスターシャ

東方不敗「………………」

黙ったまま薄い笑みを浮かべる東方不敗
戦いを拒否するチボデーたちに肩を落とすダークたち

ダークたち「ふぅ〜〜〜む………やはりそう出るか?」
「まぁ、東方不敗マスター・アジアの件は別に問うとして」
「ここは素直に従った方が良いぞ」
「でなければ………」

一同の上空を指差すダークたち
見ると………

上空の雲海が渦を巻き、その中央にゆっくりと落下してくる巨大なコーナーポストが見えてくる。
サバイバル・イレブンのリングロープを張っていたコーナーポストである

瑞山&恵雲「軌道上のガンダム・コーナーポストではないか?!」
ジャネット「それがこのネオホンコンに落ちてくる??」
ダークたち「みての通り………だがな」
「シャッフルたちが我々ダークと戦い、全員を負かす事ができれば、シャッフルの資格ありと認め」
「あのコーナーポストを宇宙へ送り返そう」
「逆にもし、一人でも我々に負ける事あらば………」

×   ×   ×

コーナーポストの直撃で壊滅するネオホンコン

×   ×   ×

ナスターシャ「そ、そんな!!あんなものが落ちればネオホンコンは壊滅だぞ!!」

愕然となる一同

シジーマ「冗談じゃねぇ!!」
エリック「こんなところに黙っていてられるか!!」
ルドガー「退散だ!!」

それぞれのガンダムでスクラムを組み、バリアを破ろうと出るファイターたち
しかし、バリアはびくともせず、ガンダムの起動が止まってしまう

エリック「だめだ!!バリアがガンダムを停止させやがる!!」
シジーマ「おい!ネオギリシャのデカイの!あんたの力でも無理か?!」
マーキロット「あぁ、お前たちがやっても無理なら答えは同じだ、無駄だな」

馬車の上で座り込んでいるゼウスガンダム

シジーマ「じゃ、どうする??」

ざわめくファイターたち

×   ×   ×

ウォン「おいおい………こんな話は聞いてなかったぞ………」

こっそり通信機でダークたちに耳打ちするウォン

ウォン「私はただ、あんたたちの試合の場を用意するだけだと」
ダークたち「うるさい!!お前は黙って見てればいい!!」
ウォン「って、そんな………」

ダークの返しに焦り出すウォン

×   ×   ×

東方不敗「ウォンめ………どうやら計算がズレたらしいな………」

鼻で笑う東方不敗
ざわめく一同の中、シャッフルに歩み寄るシュバルツ

シュバルツ「皆、どうやら道は一つ………奴らの誘いに乗って勝つしかないな………」
ドモン「シュバルツ………」

不安げに答えるドモン

シュバルツ「この中の事は私に任せろ………バリアを超える方法を探してみる」
ジョルジュ「どうやら、そうしてもらうしか無いようですね」
アルゴ「ならば、やるしかないか!」
サイ・サイシー「まあいいか、あの人は優しそうだし〜〜〜」

優しく頷いているダークの一人

ドモン「なら、シュバルツ、後はまかせた………」
シュバルツ「うむ………頼んだぞ、皆んな………」

シュバルツに託し、覚悟を決めるシャッフル
その様子に頷くダークたち

ダークたち「覚悟は決まったようだな」
「では、それぞれ自分と同じ紋章の相手と戦え!!」
ダークの合図と共に、それぞれの闘技場にシャッフルの紋章が浮かび上がる
ナスターシャ「ふん、わざわざ御大層な事だ」

怒りに鞭を握る手に力が入る

ナスターシャ「わかっているな!アルゴ!」
アルゴ「勿論だ」
ナスターシャ「ならば行け!!」

ナスターシャの合図でバリアに向かうボルトガンダム
そのままバリアを通過する

シジーマ「おい?バリアを通り抜けたぞ??」
エリック「じゃ、今のうちか?」

それぞれバリアへ向かう二人
しかし、やはり弾かれてしまい通り抜けられない

シジーマ「な、なんだぁ?!」

腕を組み見るシュピーゲル

シュバルツ「どうやら、このバリアはシャッフルの者のみ通る事ができるみたいだな」
エリック「なんだと!!」
チボデー「まぁ、すぐにここから出られる様にしてやるから、あんたらはそこで高みの見物で待ってなよ!!」

バリアへ向かうガンダムマックスター

ギャルズ「気をつけて!チボデー!!」
チボデー「!!」

心配げに見送るギャルズにOKサインを送る

レイモンド「ジョルジュ様もお気をつけて」
ジョルジュ「あぁ、この剣の輝きを奴等の目に焼き付けてくるよ」

サーベルに手をかけ進むガンダムローズ

サイ・サイシー「あ〜〜〜あ、やだな〜〜〜やだな〜〜〜こわいな〜〜〜」

見ると、体育座りの様に他のガンダムの影に隠れているドラゴンガンダム

瑞山&恵雲「何をしとるかサイ・サイシー!!皆さんに遅れをとるなどあってはならぬぞ!!」

瑞山&恵雲に喝を入れられるサイ・サイシー

サイ・サイシー「わ、わかったよぉ〜〜〜やればいいんだろ〜〜〜?」

バリアを超えるドラゴンガンダム
すると一転して、不敵な笑みを見せるサイ・サイシー

サイ・サイシー「その代わり、こいつらを二度とあの世から帰ってこれない様にしてやる!」

次々に自分の紋章の競技盆に立つ
ガンダムマックスター VS ダーク・スペードガンダム
ガンダムローズ VS ダーク・ダイヤガンダム
ドラゴンガンダム VS ダーク・クラブガンダム
ボルトガンダム VS ダーク・ジョーカーガンダム

最後にバリアへ向かうゴッドガンダム
その足元で見送るレイン

レイン「大丈夫?!ドモン!!」
ドモン「心配するな、レイン!!すぐ帰ってくる!!」

横にいるマスターガンダムを無視して進むドモン
そのすれ違い様

東方不敗「気をつけろ………奴はワシより強いぞ…」
ドモン「え?」

かすかに聞こえた東方不敗の言葉に、キング・オブ・ハートの紋章が浮かぶ闘技場のダーク・シャッフルを見る

ダーク「………」

その冷たい眼光がドモンを捉える

ドモン「師匠より、強い………??」

気を高めつつ対峙するドモン

●バトル開始

対峙しているマックスターとダーク・スペードガンダム
闘技場を踏み締め感触を確かめるチボデー

チボデー「さあて、手っ取り早く終わらせるか?」
ダーク「ああ、お互いにその方が良かろう」
チボデー「なら、そのマントをとりやがれ!!」

瞬間、パンチを繰り出しダークのカモフラージュを消し去る

バニーたち「あぁ!見て!あのガンダム!!」

全身を現す《ガンダムゴングショー》
その姿は極限にまでシェイプアップされたボディに、極限にまで肥大化したボクシング・グローブを拳にした異形の姿をしている。

唖然としているバニーたち

バニー「相手もボクサースタイルなんて………」
シャリー「ううん、問題はそこじゃないわ………ほら」

シャリーが指し示すダーク・スペードガンダムの全身には、不気味な生体的なパーツが見え隠れしている

ジャネット「そんな!あれは!!」

ガンダムゴングショーの一部にDG細胞が見える

チボデー「なるほど………そう言う訳かい………」
ダーク「何せ我々の時代にはガンダムというモノがなかったのでね、それを用意するにも、慣れるにもちょっと時間がかかってね、それで登場が遅れたって事さ!」

言い放つと共に凄まじい圧力のパンチを繰り出すゴングショー
ギリギリでガードするマックスター

チボデー「このパンチは!まさか???!」
ダーク「その通り!!お前と同じ地下ボクシングの初代チャンピオン!!」

コクピット内で正体を見せるダーク
そのボディは異常なまでのシェイプアップしたものであり、手足に関しては逆に常人の3倍もの筋肉で包まれている

レイン「凄い………これじゃチボデーが子供に見える………」

唖然となるレイン

レイン「それに地下ボクシングの初代って??」
シャリー「それはね………私たちのダウンタウンで秘密裏に行われていたボクシング……表の世界の境界とは違って、勝って生きるか、負けて死ぬまで闘う裏のファイトの世界………」

怪しげな観衆に包まれたリング
その中に累々と転がるボクサーたち

シャリー「チボデーはその団体の現在のチャンピオンなの………」
レイン「………そんな世界に生きていたのね………強いはずだわ………」

驚くレイン

バニー「でも、チボデーは決して相手を死なせずに勝利してたの………」
キャス「それを一種のルール違反とされて、団体から追い出された………」
ジャネット「でもチボデーは追手を返り討ちにして、団体を壊滅させたの………そして、その実力をガンダムファイト委員会に認められて表の世界にスカウトされた………」

心配げにダークシャッフル《初代》を見るギャルズたち

シャリー「でも、いつか地下団体の遺志がチボデーに復讐しにくると思ってた………それがこんな形で………」

不安に包まれるギャルズたち

バニー「でもよりによって相手は初代チャンピオンよ!」
キャス「試合であろうがなんであろうが、生涯ただの一度も相手のパンチを受けたことのない最強チャンピオン………」
ギャルズ「そんな最悪のファイターが相手なんて!!」

愕然と見るギャルズ

チボデー「なんてこった………初代、あんたもシャッフルだったのかい??」
初代「その通り、そして死した今、再びシャッフルの役目を果たしに、このリングに戻ってきた!!」
チボデー「こりゃあ面白くなってきた………っていうより光栄だな、あんたと同じリングに立てるなんてよ」
初代「ふふ……安心しろ………地下団体のことはどうでもいい!さぁかかってこい!ぼうや!!」
チボデー「くぅ〜〜〜!!言ってくれるぜ!!こりゃシャッフルになった甲斐があるってもんだ!!」

マックスターの全身が輝く

チボデー「マックスター!ボクサーモードだ!!」

全身のアーマーが分離
更に肩パットが外れ、グローブへと変化
ファイティングポーズを取るマックスター

チボデー「いくぜぇ!!」

素早いフットワークで瞬間的に初代の懐に入りアッパーを繰り出すチボデー
しかし、ヒットする寸前に初代の振り下ろした拳が、チボデーを叩き伏せる

チボデー「ぐはぁぁあああっ!!」
初代「どうした、どうした?!」
チボデー「くぅぅう!!」

瞬間的に体勢を直し、無数のパンチを繰り出すチボデー

初代「よぉし!!稽古をつけてやる!!」

同じく無数のパンチで打ち合う初代

×   ×   ×

その二人のバトルを見ているジョルジュとダーク・ダイヤ

ジョルジュ「なるほど………デビルガンダムが世界を移動していた時、各地に残したDG細胞を使って自分のガンダムを作っていたとはね………」
ダーク「でも、私が蘇った時にはすでにガンダムは出来上がっていたわ」

その言葉使いに気づくジョルジュ

ジョルジュ「失礼だが、あなたは女性のダーク?」
ダーク「ええ、きっとあなたもご存じのはずよ」

剣を高らかに上げるダーク・ダイヤ

ダーク「フォロー・ミー!!!」

言葉と共にカモフラージュが散り消え、姿を見せるダーク

全身を騎士の鎧に身を包んだ《JD》である

瑞山&恵雲「なんと、まさかあれは伝説級の英雄騎士!!」
レイン「私も知っている………たしかあれはコロニー時代が始まったころの混迷期、ネオフランス空域に侵略侵攻してきた敵勢力にたった一人で立ち向かい勝利したという………」

驚き見入る一同

レイモンド「さようでございます!我が国が誇る希代の英雄!今のネオフランスがあるのは彼女の偉大なる功績のおかげ!!永遠の騎士!JD様でございます!!」

涙目で見るレイモンド

ジョルジュ「なんと………あの戦いの後、彼女は忽然と姿を消したと言われていたが、まさかシャッフル同盟の一人になっていたとは!?」

驚きつつ、意を決するジョルジュ

ジョルジュ「この一戦!私にとって光栄の一言!!是非とも真の騎士道をみせていただきます!!」
JD「良い心がけ!ならばあなたの現代の騎士道、見せていただきます!!」

同時に剣を合わせる二人のガンダム
ダークのカモフラージュが消え現れる
《ガンダムフォローミー》
その全身は、鏡の様な装甲で身を包んだ美しい姿である

JD「さあ、自分の身を私に映し、己のおろかな正義を見るがよい!!」
ジョルジュ「何をおっしゃる!!いくら美しく着飾っても、所詮はDGの器!その偽りの姿を私が清めてくれましょう!!」

凄まじい速さの剣捌きで突っ込むジョルジュ
見ると、互いに刺し合い傷を負っている

二人「素晴らしい!!」

改めて斬りかかるジョルジュ
だが瞬間、フォローミーの全身が太陽の輝きを反射し、ジョルジュの視界を奪ってしまう

ジョルジュ「くぅ!!」

怯みを見せるジョルジュ
しかし次の瞬間、輝きの中にフォローミーの姿を見て、剣を繰り出し、その体を粉々にしてしまう

ジョルジュ「やったか?だが簡単すぎる?!」

自分の剣の手応えに迷うジョルジュ
更にそれがフォローミーの装甲の鏡だと気づく

ジョルジュ「それにこれは鏡?!」
JD「その通り!!」

突然背後から剣を受けるジョルジュ

ジョルジュ「背後からとは卑怯な!」

見ると、フォローミーの影が2体、3体と姿を増やしていく

JD「さあ、本物はどれでしょう??」
ジョルジュ「くぅぅぅ………まさかあなたがこんな技を使うとは………その歪んだ騎士道、私が正してみせる!!」

鏡装甲の影に剣を突くガンダムローズ
しかし次の瞬間、装甲に映っていたものはガンダムローズであり、攻撃が自分へと返ってくる

ジョルジュ「うわぁぁあああ!!!!!」

自分の攻撃で自分が傷ついてしまうジョルジュ

ジョルジュ「どういう………仕掛けだ??」
JD「さぁてね、でもまだまだ奥の手はあるからお楽しみにね」

鏡の装甲に映ったフォローミーが増えていく

ジョルジュ「何?!」

気づくと無数のフォローミーに包囲されているジョルジュ
更に、周囲の情景が変わり、戦場と化している

ジョルジュ「こ…これは!?!」

×   ×   ×

サイ・サイシー「うわぁ〜〜〜あっちは大変そう〜〜〜」

ジョルジュの様子に唖然となっているサイ・サイシー

ダーク「ふおっふおっふぉっ、なんだったら戦わずに降参してもいいのだぞ?」
サイ・サイシー「えっ?!ほんと!?」

ふざけて喜ぶサイ・サイシー

サイ・サイシー「って、訳にはいかないんだよね〜〜〜」

一転して真剣に構える

ダーク「うむ!!良い構えじゃ!!見たところ少林拳!!その若さで良く錬られておる!!感心感心!」
サイ・サイシー「そう言うおじいさんはどの門派だよ?!」
ダーク「そうかそうか?まだ何の構えも見せてはおらなんだな、では失礼して」

静かに構えると共にカモフラージュが消えていくクラブのガンダム
その中から現れる黒き胴着に身を包んだガンダム
名は《ガンダムリアルカンフー》

その姿に驚く瑞山&恵雲

瑞山&恵雲「そのお姿、もしやあなた様は?!」
「武林江湖がグランドファーザー!《創始》殿!!!」
サイ・サイシー「ええ?!」

驚く一同に優しく微笑むダークこと創始

創始「いかにも」
瑞山&恵雲「………なんと………」

唖然としている瑞山&恵雲に寄るチボデーギャルズ

キャス「ねぇ、創始さまって誰?何した人?どんな人?」

女子にくっつかれて少々赤くなる瑞山&恵雲

瑞山「ネオアメリカの方では知らぬも無理はありますまい」
恵雲「創始殿とは遥かな昔、武術そのものを作り上げたお方………」
瑞山「その技は無限の形に枝分かれ、数多の弟子によって様々な流れと型を形取ることに………」
恵雲「それが現在の流派となった、いわば源流を作りだしたお方!」
ナスターシャ「それは私も聞いたことがある!だが!!」

改めて創始を見るナスターシャ

ナスターシャ「だか、あの様な年齢でガンダムを操れるのか?」

その瞬間、激突音と共にドラゴンガンダムが吹き飛ばされる

ナスターシャ「何っ?!」

ゆったりと動きを止めるガンダムリアルカンフー

創始「ぅ〜〜〜」

静かに息を整える創始
その前でゆっくりと身を起こすドラゴンガンダム

サイ・サイシー「うわぁ〜〜〜創始って伝説じゃなくて本当にいたんだ?」
創始「こりゃ!歳上に向かって態度が悪い!!創始様と呼べ、創始様と!!」
サイ・サイシー「イテっ!!」

創始に頭を軽く叩かれるサイ・サイシー

創始「やれやれ、お主はシャッフルがどうと言うより、まずは武術家としての資質を問うのが先じゃな」

サイ・サイシーをジロジロと品定めする創始

創始「聞けばかの少林寺はその門を閉められておると聞く………まぁ、それもこの門派を引き継ぐのがこの小僧ではしかたもあるまいてか?」
サイ・サイシー「!!」

創始の嫌味に、サイ・サイシーの眼光が鋭く輝く

創始「うん?何か文句があるのかい?」
サイ・サイシー「あったりまえだぁああ!!」

気力を煮えたぎらせるサイ・サイシー

創始「ほほ!これはなかなか!!」
サイ・サイシー「じいさん!!こうなりゃ、あんたとオイラの技、どちらが上か決着つけようじゃないか?!」
創始「それは面白い!!わざわざ現世に戻ったかいがあったわ!」

互いに向き合うガンダム
その右手を拳に、左手を掌にして合わせ、抱拳礼を交わす二人

二人「いざ!!」

その様子を心配げに見ているレイン

レイン「………ダーク・シャッフル………なんて人たちなの………これじゃあまりに不利??」
ナスターシャ「ふふ………シャッフル同士とはいえ、我々の心配をしてくれるとは余裕ではないか?それともドモンの勝利は確実だとも??」
レイン「そう言う訳じゃ………それにアルゴだって」

困惑するレイン

ナスターシャ「奴なら心配無用、みろ」

アルゴを指し示すナスターシャ

一撃でダーク・ジョーカーのガンダムを粉砕するボルトガンダム

ナスターシャ「はっはっはっ!!さすがは我国のガンダムだ!!よくやった!アルゴ!!戻って待機しろ!!!」

余裕で背を向けるナスターシャ

アルゴ「いや!そうはいかんらしい!」
ナスターシャ「何?どうしたアルゴ!!」

不思議げに見返すナスターシャ
次の瞬間、敵のガンダムの異変に気づく

ナスターシャ「あれは?!」

カモフラージュのままバラバラになったダーク・ジョーカーガンダムの破片が集まりだし、自ら合体し元のカモフラージュの姿を作っていく

ナスターシャ「何だと?!」

驚くナスターシャ
その前で元の姿に戻り切るダークガンダム

ナスターシャ「元に戻った??」
レイン「これはDGの自己再生!」
ナスターシャ「かまわん!叩きのめして再生の時間を与えるな!!」
アルゴ「わかった!!」

次々にパンチを繰り出すボルトガンダム
更にグラビトンハンマーでダーク・ジョーカーガンダムを打ち壊す

ナスターシャ「これでどうだ?!」

ボルトガンダムのパワーに喜び見るナスターシャ
しかし、繰り返し再生を繰り返すダーク・ジョーカーガンダム

ナスターシャ「おのれ!!!手を止めるな!アルゴぉお!!」
アルゴ「ぉぉおおおおおお!!!!!!」

凄まじいスピードでカモフラージュを殴り続けるボルトガンダム

レイン「すごい攻撃!アルゴはまだ実力を隠していたの??もしあんなのをドモンが受けていたら………」

驚愕しつつ、ダーク・ジョーカーガンダムにも目を見張るレイン

レイン「それに相手のダーク・シャッフルはそれを上回るスピードで再生………さすがは歴代のシャッフルの任を背負ってきた人たち………」

ふと気づくレイン

レイン「そうだ!!ドモンは?!ゴッドガンダムは?!」

ドモンの闘技場へと向かい見る

レイン「ええ??」

×   ×   ×

互いに微動だにせず睨み合っているゴッドガンダムとダーク・ハートガンダム

ドモン「………………」
ダーク・ハート「………………」

だが、その2機の間には凄まじい闘気が渦巻いている

×   ×   ×

レイン「すごい気力………武闘家じゃない私にもわかる………」

圧倒されるレイン
その闘気によろめくレインを後ろから支える男
シュバルツである

シュバルツ「大丈夫か?」
レイン「ええ………でもあの二人………」
シュバルツ「ああ………一見、互いに動けない様に見えるが、あれは動かないんだ………」
レイン「動かない??」
シュバルツ「そうだ………互いに互いの力量と技を見計らっているんだ………」
レイン「つまり勝負はもう始まっている………??」
シュバルツ「しかも、分が悪いのはドモンのほうだ」
レイン「ええっ?!」

×   ×   ×

ドモン「………………」
ダーク・ハート「………………」

二人の闘気の拮抗が崩れ始めている

ドモン「………!!!」

焦るドモン

×   ×   ×

その気配を察するレインとシュバルツ

レイン「ドモン………」
シュバルツ「臆するなドモン………先に動いた方が負けだ………それはわかっているだろう!」

×   ×   ×

ドモン「ぉぉおおおお!!」

だが次の瞬間、ダーク・ハートに向けて拳を振るうドモン
それをかすめつつ避けるダーク・ハート
そのダークに更に拳を連発し押し進むドモン

ドモン「ぉぉぉおおおおおおお!!!!!!!」

無数の拳がダーク・ハートを追い詰める
その一手一手がギリギリでかすめている

×   ×   ×

レイン「見て!ドモンが相手を追い詰めてる!!」
シュバルツ「いや、良く見てみろ!一見ギリギリにダークを押しているように見えるが、その実!!」

×   ×   ×

ドモンの拳を最低限の動きで避けているダーク・ハート

ダーク・ハート「ふふっ!!」

更に、その拳をかすかな動きで弾き除けている

×   ×   ×

シュバルツ「そして、細かな動きとはいえ、それを確実に重ねる事で《打ち手》、すなわち打撃となって効いている!」

×   ×   ×

苦悶のドモン

ドモン「!!」

ドモンの弾かれた拳の甲が黒く腫れ始めている

×   ×   ×

レイン「そんな?!」
シュバルツ「来るぞ!!」

突然、ダーク・ハートの反撃を予期するシュバルツ

×   ×   ×

ダーク・ハート「超級覇王ぉぉぉぉおおおおお!!!!!!」

ダーク・ハートガンダムが構えの無い体勢から全身にエネルギーを纏い回転しつつ猛烈なスピードでゴッドガンダムに突っ込む

ダーク・ハート 「電影弾!!!!!!!!!!!!」

正面からエネルギー弾を受け吹き飛ぶドモンのゴッドガンダム

ドモン「何ぃぃいいいい??????!!!!!!!!!!!」

×   ×   ×

レイン「そんな!今のは新宿でドモンとマスター・アジアが二人で見せた技?!」
東方不敗「さよう………我が流派東方不敗の奥義が要!!」

レインたちの背後から歩み進む東方不敗

レイン「それをどうして??」
シュバルツ「いや!!簡単な事だ!!あのダーク・ハートもまた流派の同門!!」

×   ×   ×

ダーク・ハート「………」
ドモン「そ、そんな………!!どうして超級覇王電影弾を!」

ダーク・ハートに見下ろされ愕然としているドモン

×   ×   ×

東方不敗「そろそろ正体を見せてはいかがか?!姉弟子!!」

ダーク・ハートに呼びかける東方不敗

一同「あ、姉弟子???!!!」

東方不敗の言葉に驚く一同

東方不敗「さよう!この東方不敗が生涯で唯一勝ちを得なかったお方!!」

×   ×   ×

ドモン「そ………そんな………ではあなた様の名は………???!!!」

恐る恐るダーク・ハートに問いかけるドモン

ダーク・ハート「ほう………どうやら弟から名は聞いていたのか………」

不敵にドモンに迫るダーク・ハート

ダーク・ハート「ならば!我こそがキング・オブ・ハートにして流派東方不敗の正当掌門
人呼んで《独狐求敗》!!!!」

高らかに名乗りを挙げ、ダーク・ハートガンダムのカモフラージュを解く

そして、現れたそのガンダムの姿は

    《白いマスターガンダム》であった

 

続く……