英雄変生

第3話

●〜現在〜補給庫

ドモンの話に聞き入っているレイン

レイン「で、カッシュのおじさまがコロニーに戻っても、ドモンはそのままギアナに残って弟子入りしたって訳?」

×   ×   ×

〜回想インサート〜
ギアナを降り、帰っていくカッシュとキョウジ
それを見送るドモンと東方不敗

×   ×   ×

ドモン「うん………それからはもう!」
レイン「修行の話はいいわ、でもね!私に挨拶なしだなんて!!」

急にムクれるレイン

×   ×   ×

〜インサート〜
一人待つ幼いレインの姿

×   ×   ×

ドモン「挨拶って??どうして?」
レイン「そういうものでしょ!!」
ドモン「もの………なのか?」

レインの御冠がよくわからないドモン

レイン「全く〜〜〜!とにかく補給物資の確認を終わらせましょ!」

次のエリアへ向かうレイン

レイン「もう………いっそ補給の武器でドモン撃っちゃおうか………」

格納庫の扉を開けるレイン
その中の補給物資に驚く

レイン「え………これは………」

レインとドモンの前に格納されている
《プロトタイプ・ライジングガンダム》

ドモン「おいおい、まだ使えるのか??」
レイン「大丈夫………整備はされてるわ………」
ドモン「でも、あの時随分なことになっただろ?」
レイン「ええ………」

ある出来事を思い出し、顔を曇らせるレイン

●ネオジャパンコロニー

ウルベ専用オフィスで目録を見て驚くミカムラ

ミカムラ「少佐………ライジングを補給に?」
ウルベ「何か不都合でも?」
ミカムラ「いえ、それは無いのですが………」
ウルベ「ガンダムファイトに出場できるガンダムは各国一機、ですが、修理交換などサポート用は認められています」

当然の様に続けるウルベ

ウルベ「勿論、ファイトに関わることはできませんがね、いずれにせよデビルガンダムに対する戦力は多い方がいい」
ミカムラ「はい………」

複雑なミカムラ

ミカムラ「だが、これはもう………廃棄にすべきかと思っていたのに………」

●〜回想〜DG事件の始まり

殴り合うネオジャパンのガンダム同士

ネオジャパンのガンダム開発局
その内部には歴代の出場ガンダムが並んでいる

一方の会議用リングスタジアム
リングの中ではデータ化されたガンダムが戦っている
★本編第30話に登場のゲームシステムに似たもの
やがて、片方のガンダムが背中の薙刀を構え、相手に切り込んでいく

×   ×   ×

しばらくの後
試合は終了し、ウルベ少佐がさまざまな軍人や科学者から祝福をされている

ウルベ「ありがとうございます」
軍人「素晴らしかったよ、さすがは前ガンダムファイターの君が推薦するガンダムだった」
「最後の薙刀は秀逸だね」
「それにまだ弓もあるとか?」
「今回は起動させなかったようだが、本番での活躍を楽しみにしているよ」
「いずれせよ、これで一年後の13回大会には万全で出場できる」
「前回の君の悔しさ、必ず晴らさなくてはね!」
ウルベ「勿論です」

笑顔で握手を続けるウルベ

軍人「それで、あのガンダムはなんと言う名前にするつもりかね?」
ウルベ「はい、ライジングガンダムです」

自信満々で答えるウルベ

ウルベ「そして同じ感情エネルギーシステムを搭載した発展型のシャイニングガンダムも用意してありますので、大会にはそちらでと考えております」

×   ×   ×

コロニー内の海岸線を走る軍用車
後部座席に乗っているのはミカムラ博士である

×   ×   ×

カッシュ邸の門前に止まる軍用車
その中から喜び勇んでカッシュ博士の工房へと走るミカムラ
手にはライジングガンダムの設計図が握られている

ミカムラ「ライゾウ!!やったぞライゾウ!!私の、私のガンダムが!」

工房ロビーで打ち合わせ中のカッシュとキョウジが気づく

カッシュ「そうかミカムラ!!おめでとう!やったな!」
ミカムラ「ああ!今日の選出バトルで優勝した!!これで私のライジングガンダムが13回大会のネオジャパン代表ガンダムに決定だ!!」
キョウジ「博士、僕からもおめでとうと言わせてください」

ミカムラに進み出るキョウジ

ミカムラ「勿論だ!!ありがとう!!」

満面の笑みでキョウジの手を握るミカムラ

×   ×   ×

その夜
ささやかな祝宴を開いているカッシュ家
グラスを手にほろ酔いのミカムラ

ミカムラ「で?ドモン君はあのギアナ調査以降一度も帰ってはきていないのか?」
カッシュ「そうなんだよ、たまに便りはあるけどな」
キョウジ「まぁ、あの有名な流派東方不敗に弟子入りしたんですから、まだまだ当分は帰ってこないでしょうね」
ミキノ「でも………私なんて突然だったんだから、心配でしょうがないわ」
カッシュ「すまん、どうしてもドモンが弟子入りするってね」
ミキノ「一度くらいそのお師匠さんにお会いしたいわ」
カッシュ「まぁ、そう怒るな」
ミカムラ「いやいや、奥さんの気持ちは良くわかりますよ、何せ私の家にも一人、今も怒ってるのが」
キョウジ「レインですね?」
ミカムラ「その通り、今日も呼んだんだがね、よけいにヘソを曲げおって」
一同「ふふ………」

不満げなレインを想像して含み笑いをする一同

×   ×   ×

ミカムラ「さて、そろそろお暇するとしようかな?今日はありがとう」

腰を上げようとするミカムラ

カッシュ「まだいいだろう?それに今日が君だけのお祝いなんて勿体無い」
ミカムラ「と言うと??」

首を傾げるミカムラ

カッシュ「完成の目処がついたんだ、こちらもね」
ミカムラ「それじゃ?あれが?」
カッシュ「うん」

力強く頷くカッシュ

×   ×   ×

カッシュ邸・地下工房
次々と灯るライト
その中に浮かび上がる《アルティメットガンダム》

ミカムラ「おお………」

その全貌に感嘆するミカムラ

ミカムラ「だが、君の三大理論をガンダムに搭載するとは………」
カッシュ「研究中にね、実験するにはガンダムの機体を利用するのが最善だとわかってね」
ミカムラ「確かにこれならどこへでも移動できて、実験がしやすい」
カッシュ「それにもし、危険なことがあっても対応できる」
キョウジ「前にギアナで懲りましたからね」
ミカムラ「だが………」

かすかに嫌な予感をアルティメットの姿から感じるミカムラ

カッシュ「そうだ、これがどのようにして三大理論を実現するか、見てみないか?」
ミカムラ「それなら、データバトルで試させてくれるか?」
カッシュ「勿論だ………だがこれはバトル用には設計していないから………」
ミカムラ「かまわんよ」

急いでコントロールパネルにデータを入れるミカムラ

キョウジ「それじゃ、こちらは僕が」

同じくデータを始動させるキョウジ

ミカムラ「よおし、準備できた、ライゾウ頼む」
カッシュ「わかった!それではガンダムファイト!」
一同「レディー・ゴー!!!」

開始の掛け声と共に、双方のガンダムデータが立ち上がる

●………後日

新設されたウルベのオフィス
そこで、肩を落とし項垂れているミカムラ

ウルベ「いかがです?我々の新しい指令オフィスは?」

自慢げにオフィスの中を見回すウルベ

ウルベ「来年にはここからガンダムファイターに指令を下す、そのための最新のシステムを組んであります」
ミカムラ「はぁ………」

ウルベがコーヒーを出しつつ、不思議そうに声をかける

ウルベ「で?今日はいかがしました?随分お疲れのようで?」
ミカムラ「いや………それが………負けたのです………完膚なきまでに」
ウルベ「負け??一体何に?」
ミカムラ「ガンダムファイトにですよ………」
ウルベ「はぁ?それはどういう事ですか??」
ミカムラ「実は………」

深刻に語り出すミカムラ

×   ×   ×

〜回想〜

カッシュ博士の工房
掛け声と共に始まるガンダムファイト・データバトル
アルティメットガンダムに薙刀で斬りかかる ライジング
同時に拳を打ち出し、更に蹴りを入れるライジング
次々に技を決められ、傷だらけになるアルティメットガンダム

ミカムラ「確かに装甲が厚いのか、タフな機体だ!」

立ち上がろうとするアルティメットガンダム

ミカムラ「だが、やはり時間の無駄だね」

ウェポンパネルを操作するミカムラ
ライジングの左盾が変形し、弓矢を構える

ミカムラ「しかし、ものはついでだ、こちらもテストさせてもらうよ」

力を込めて弓を弾く腕

ミカムラ「必殺必中!ライジングアローだ!!」

技名と共に矢を放つライジング
アルティメットの左肩を打ち崩す

ミカムラ「どうかね?!」

自信満々に勝ち誇るミカムラ
だが次の瞬間、異変に気づく

ミカムラ「何??」

見ると崩れたはずのアルティメットの左肩が、元の形に戻ろうと蠢き始めている

ミカムラ「これは!?」

次第に元の形を取り始め、その全身も巨大化し始めている

ミカムラ「な………何という事だ!!!」

巨大化に圧倒されるライジングとミカムラ

キョウジ「どうですか?これが父さんの三大理論!自己再生、自己増殖!そして自己進化!!」

アルティメットガンダムが変形を遂げる(本編6話の形態)
そのままアルティメットに呑まれていくライジング

ミカムラ「ぅぁぁああああ!!!!!!!!!!!!」

恐怖を感じ、愕然とするミカムラ

×   ×   ×

〜現在〜

ウルベ「なんと………データバトルとはいえそのような事が………」

ミカムラの話に息を呑むウルベ

ミカムラ「私も未だ信じられません………ですが………これは事実です」
ウルベ「それでライジングに自信が持てなくなったと………」
ミカムラ「はい………でもそれだけじゃないのです!カッシュはライジングの実戦機として製造されるシャイニングガンダムまでも!!」

×   ×   ×

設計データを見るカッシュ

カッシュ「ふむ………これは問題じゃないかな?」

×   ×   ×

ミカムラ「彼はシャイニングの感情エネルギーシステムが怒りのパワーでしか効果がない………そう予見したのです」

苦笑いを浮かべるミカムラ

ウルベ「ふむぅ………」

考え込むウルベ
やがてあることを思いつく

ウルベ「博士、それは決して悪いことではないかもしれません………いや、むしろ良かった」
ミカムラ「はぁ?それは一体?」

ウルベの意外な言葉を不思議そうに聞くミカムラ

ウルベ「いや、私にいい考えがある!既にシャイニングは次期機体に登録されています。それを退げる訳にはいきません、それに私とて前回の汚名返上の機会を逃すことはできない………だったら………だったらだ!!」

笑みをこぼすウルベ

●カッシュの工房

カッシュ「お断りいたします!」

ウルベとミカムラを一喝するカッシュ

ウルベ「ですが、その三大理論を!全てではなく!自己再生一つでもあれば、無敵のガンダムが作れるのです!そう!例え頭部を破壊されても、再生することでサバイバル・イレブンの失格を免れ、決勝大会においても優勝するまで戦い続けるガンダム!それがあれば我が国の四年間の覇権が、いやいや、この先永遠にネオジャパンが宇宙の覇者となれるのです!!」
カッシュ「いいえ!何を言われても同じです!」

ウルベの熱弁を一言で止めるカッシュ

カッシュ「良いですか?!私の三大理論は地球の自然を取り戻すための理論です!!それを逆に自然を破壊するようなガンダムファイトのために使うなど言語道断!!ミカムラ!君も君だ!!私の自然科学者としての理念を知らない訳ではないだろう!」
ミカムラ「そ、れは………」
カッシュ「君が君の道を行くのは正しい!だが、そのために私の道を汚すのはやめてもらいたい!!それが同じ科学者としての最低限のルールじゃないか!!」

怒りが溢れてしまうカッシュ

カッシュ「それに私はある方と約束をしているのです!!この理論は二人の理想のためにあると!!」

×   ×   ×

〜回想〜
手を取り合うカッシュと東方不敗

×   ×   ×

カッシュ「さあ、お二人ともお帰りください」
ウルベ「………」

納得しないウルベ
キョウジに助け舟を求めるミカムラ

ミカムラ「キョウジ君………」
キョウジ「………………」

つれなく首を振るキョウジ

×   ×   ×

帰りの海岸線を走るウルベの車

ミカムラ「残念ですが………」

窓越しにカッシュ邸を見るミカムラ

ミカムラ「彼の性格からしてもこれ以上は………聞くところによると三大理論の研究を始めた頃、もう一人の息子ドモン君が弟子入りした……誰でしたっけ…………そう、東方不敗とかいう武術家と意気投合して、自然の再生という目的を改めて約束したと言うんです………そうなってしまっては彼の性格上………」
ウルベ「東方不敗?!カッシュ博士は東方不敗と繋がっているのですか?!」

ミカムラからの東方不敗の名前に反応するウルベ

ミカムラ「あ………そうでしたな、失礼………」
ウルベ「いや………気になさらずに」

ふと思い直すウルベ

ウルベ「しかし………自己再生の機能、諦めることはできない………」

瞬間、キョウジを思い出す

ウルベ「どうだろう?あの息子から崩せないか??」
ミカムラ「キョウジ君ですか………」

一瞬、テストバトルのコントロールをしていたキョウジを思い出す
巨大化するアルティメットを思い出し寒気を感じる

ミカムラ「いや………やはり無理でしょう………」

少し震えながら首を振るミカムラ

●ウルベの誘惑

専用オフィスのウルベとミカムラ

ミカムラ「それで………私とライジングの進退ですが………」
ウルベ「それは問題ない………予定通り大会には出てもらう」
ミカムラ「ですが!」
ウルベ「最低限のルール!あの言われようにあなたは悔しくないのですか?!」
ミカムラ「それは………」

拳を握り堪えるミカムラ

ウルベ「私のこの足を見てください………」

ズボンを捲り上げ義足を見せるウルベ

ウルベ「前回の大会でファイターとして出場した私はね………」

×   ×   ×

〜回想〜
前大会の最終戦
ウルベガンダムが戦場へと歩みを進める
その眼前に待ち構えるクーロンガンダムと手の上の東方不敗

東方不敗「………………」

ウルベガンダムの横にもう一機のガンダムが並び進む
女性型ガンダム《ノーベルガンダム・ルンド》搭乗者はネオスウェーデンの代表の女性ファイター《リミテックス》である
★「機動武闘学園!!アレンビー・ファイト!」参照

ウルベ「!!」
リミテックス「!!」

互いに息を合わせ、クーロンガンダムに飛びかかる二人

×   ×   ×

ウルベ「あの東方不敗と渡り合うため、恥を忍んでネオスウェーデンのファイターと手を組んだ………何故ならば、あの大会には決勝大会が無かったのだ」

苦笑いのウルベ

ミカムラ「聞いています………決勝大会ためのサバイバル・イレブン………そこで東方不敗は全てのファイターを倒し、ネオイングランドでの決勝を前にして残っていたのがウルベ少佐とネオスウェーデンのリミテックス、二人だけ………」
ウルベ「その事実上の決戦の地となったのが、あのキョウト………」

拳に怒りと悔しさの力が入るウルベ

ウルベ「だが………奴は強すぎた!!」

×   ×   ×

〜回想〜
クーロンガンダムに打ち据えられるウルベとリミテックス
コクピットの中で血まみれになっているウルベ

×   ×   ×

ウルベ「見事に敗北………その報いがこの足だ………」

義足を撫でて苦笑するウルベ

ミカムラ「………!!!………」

声を殺し驚くミカムラ

ウルベ「ですが後悔はしていない………むしろ名誉の負傷!何故ならそんな卑怯な真似をしてでも優勝を目指す!!ガンダムファイトにはそんな覚悟が必要なのです!」

足を気遣う手に力が入る

ウルベ「そのためにもミカムラ博士!あなたもその覚悟をしていただきたい!!」
ミカムラ「………!!!!!」

ウルベに圧倒されるミカムラ

●DG事件・当日

カッシュの工房に響く銃声

キョウジ「母さん!!」

撃たれたミキノに駆け寄るキョウジ
ウルベの背後にいるミカムラを見るカッシュ

カッシュ「ミカムラ!!」
ウルベ「おっと、あなたがたには三大理論のデータを出していただかなくては」

銃口を向けつつカッシュに立ちはだかるウルベ

ウルベ「さ、キョウジ君とやら、ミカムラ博士にデータを渡してくれるかな?」

カッシュに向けた引き金に力が入る

キョウジ「父さん!!」

焦るキョウジ

ウルベ「迷ってる時間はない!」

キョウジの肩を撃ち抜くウルベ

キョウジ「あぁああ………」
カッシュ「大丈夫かキョウジ!!!」

キョウジに走り寄るカッシュ
二人が目を合わせ、何かを合図する

ミカムラ「すまないが………急ごう」
キョウジ「博士!あなたという人は?!」
ミカムラ「頼む………言う通りに!」

コントロールパネルに向かう二人

ミカムラ「これにデータを移動してくれたまえ」
キョウジ「………!!!」

メモリを受け取るキョウジ、怒りと共にデータを操作する

ウルベ「そうだ、それでいい」

不敵な笑みを浮かべるウルベ

しかし、次の瞬間パネルから警告音が鳴り響く

ミカムラ「な、なんだ?!どうした?!」

見るとデータが次々と消去され出す

ウルベ「これは?!」
キョウジ「もう消去は止められない!!」
カッシュ「そうだ!この理論は決して軍などに渡しはしない!!」
ウルベ「おのれ!!」

パネルに駆け寄り、銃のグリップでコントロールパネルを叩き壊す

キョウジ「無駄だ!!」
ウルベ「よくも!!」

改めて銃をキョウジに向けるウルベ
その瞬間、工房のライトが一斉に消え、暗闇になる

ウルベ「しまった!!逃すな!出口をかためろ!二人をここから出すんじゃない!!」
カッシュの声「それも無駄だ!!」

カッシュの声と共に非常灯が輝く
見ると、アルティメットガンダムのコクピットにキョウジが乗り込もうとしている

ミカムラ「これを動かすのか?!」
キョウジ「そうだ!これを止められる者はいない!!」

コクピットに入り、操作するキョウジ
アルティメットガンダムが起動し始める

ウルベ「そうはさせるか!!」

キョウジに銃を向けるウルベ
その瞬間、盾になって立ちはだかるカッシュ

カッシュ「撃つならまずは私を撃て!!だが私が死ねば三大理論は今度こそ永久に消えてしまうぞ!!」
ウルベ「うっ………」

カッシュの覚悟に怯むウルベ

カッシュ「それでも良いなら撃て!!」

ウルベに迫るカッシュ
その隙に上昇を始めるアルティメットガンダム

カッシュ「キョウジ!後は頼んだぞ!!」
キョウジ「任せてください父さん!!」

コクピットを閉めて上昇を早める
その頭上の工房の屋根が開き始める

ウルベ「まずい!!脱出を防ぐぞ!!」

×   ×   ×

カッシュ邸上空
上昇するアルティメットガンダム
その周囲を包囲する軍のMSブッシ隊とウルベ搭乗のファントマ

ウルベ「一斉に砲撃!!絶対にこいつを逃すな!!」
ブッシ隊「了解!!」

かまえるブッシ

ウルベ「撃てぇええええ!!!!!」

一斉射撃を受けるアルティメットガンダム
そのボディに着弾し、装甲を剥がし始める

ウルベ「良し!!効いてるぞ!!このまま!!」

瞬間目を疑うウルベ
剥がれた装甲が再生しつつ、更に砲身へと進化し始める

ウルベ「自己再生、自己進化!?」

更にその砲身が無数に増える

ウルベ「そして自己増殖か!!」

驚くウルベ
同時に全砲門から一斉発射するアルティメットガンダム

[!!!!!!!!!!!!!!!!!]
[!!!!!!!!!!!!!!!!!]
[!!!!!!!!!!!!!!!!!]
[!!!!!!!!!!!!!!!!!]

その全弾がブッシ隊を撃破していく
更にウルベのファントマも撃破

ウルベ「ぁぁぁあああああ!!!!!!」

機体の爆発に巻き込まれるウルベ
落下していくブッシ隊とファントマ

その爆炎の中を上昇していくアルティメットガンダム

キョウジ「くっ………!!!」

撃ち抜かれた腕をかばいつつ、邸宅へと目を向ける
小さくなっていく邸宅の中に、カッシュの見上げている姿が見える

キョウジ「………父さん………」

気を失っていくキョウジ

地球を目指して落下していくアルティメットガンダム

●DG事件の後日譚

ウルベのオフィス
待っているミカムラ、入ってくるウルベに気づく

ミカムラ「お怪我は大丈夫ですか?!」

仮面をつけているウルベ

ウルベ「ええ………ですが、骨の欠損が激しく、結局また名誉の負傷が増えてしまいましたな………」
ミカムラ「そうですか………」
ウルベ「それよりも問題は…」
ミカムラ「はい……結局あの後………」

×   ×   ×

地球へ落下するアルティメットガンダム
その姿が消えてしまう

×   ×   ×

ミカムラ「地球へ落ちた事は確認できたのですが、その後の消息が全くの不明のまま……」
ウルベ「そうか………」
ミカムラ「アルティメットガンダムの起動サインがないところを見ると、おそらくは何らかの原因で休眠状態のようなものになっているかと考えられます………」
ウルベ「うむ………」

困惑する二人

ミカムラ「捜索隊を出そうにも、現在地上の管理はネオホンコンの覇権の下にあるため、それも思うようには………」
ウルベ「まぁ、許可はでないだろうな………それに事の次第を話す訳にはいかない……」
ミカムラ「ですが、このまま放っておけばキョウジ君の口から………」

考え込むウルベ
やがて腹を決めたように立ち上がり、窓から地球を見下ろす

ウルベ「こうなれば手は一つ」
ミカムラ「え??」
ウルベ「ガンダムファイトだよ!」

不敵な笑みを浮かべるウルベ

ミカムラ「はぁ??」
ウルベ「そのために、まずドモン・カッシュを招集する!!」

 

続く……