英雄変生

第4話

●ドモンの招集

江湖を独り行くドモン・カッシュ

盗賊団と戦うドモン
秘境の中に迷い込んだ村人を救い出すドモン
さまざまな豪傑と戦うドモン
その姿にウルベとミカムラの企みが重なる

ウルベ「彼は今キング・オブ・ハートの紋章を引き継ぎ、江湖を渡りいくつもの活躍をしていると聞く………そんな彼だ、ガンダムファイターとして申し分はないだろう………そして一年後の第13回大会に出場し、サバイバル・イレブンで世界を放浪し、その中でアルティメットガンダムを探し出し回収させる………勿論データだけでもいい!」
ミカムラ「いや、無理です!ドモン君が事の次第を知れば」
ウルベ「当然、全ては秘密だ!」
ミカムラ「ですが、生き残ったカッシュから………」

言いかけて気が付くミカムラ

ミカムラ「……!!……」
ウルベ「その通り」

×   ×   ×

冷凍刑で眠っているカッシュ博士

×   ×   ×

ミカムラ「確かに………完全な口封じ………」
ウルベ「生きていても決して三大理論を我々に提供することはないだろう………ならば真相は永久凍土の中に………」

冷たい笑みを浮かべるウルベ

●ドモンの帰還

ネオジャパンコロニー最下層

ドモン「と………父さん………!!!!」

愕然となるドモン

ドモン「そ………そんな………父さん!!!」

冷凍装置に泣き縋るドモン

ミカムラ「すまん………私では何の力にもなれなかった………」

悲しげにドモンに寄り添うミカムラ

ウルベ「国家反逆罪………それを考えれば、これは恩情があった方だと言える」

仕方なさそうに言うウルベ

ドモン「それで………兄さんは………兄さんはどうなったんです!?」

涙を流しつつ、怒りを露わにし始めるドモン

ウルベ「問題はそれなんだ………」
ミカムラ「彼は地球へと逃れてしまったんだ………デビルガンダムと共にね」
ドモン「デビルガンダム??」

ウルベたちの話を嘘とは思わず聞き入るドモン

ミカムラ「キョウジ君はそう呼んでいたね………」
ウルベ「彼は父親の研究を利用し、その力で世界を自分のものにしようと企んでいた」
ドモン「兄さんが………世界を??」
ウルベ「その実行寸前に情報を得た我々に阻まれ、銃撃戦の中で君の母上は、キョウジ君の撃った流れ弾に………」

嘘を続けるウルベ

ドモン「母さんが………」
ウルベ「そして残されたカッシュ博士は同罪として………このように………」
ドモン「ぅぅう………」

父親の現状に耐えるドモン

ミカムラ「でもお父さんは生きてる………それは確かだ………」

ドモンの荒ぶる感情を制御しようとするミカムラ

ドモン「でも肝心の兄さんは!!」
ミカムラ「君を呼び返したのはそのためだ」
ウルベ「我々のガンダムで重罪人キョウジを捕まえてもらうためにね!」

ドモンに迫るウルベ

ドモン「我々の……ガンダムで??」

話が飲み込めないドモン

●シャイニングガンダムの誕生

ガンダム開発局
その実験室に来るドモンたち

ミカムラ「まぁ、見てくれたまえ」

隔離エリアに置かれたブッシの残骸

ドモン「これは………??」

見ると、わずかではあるが、破壊された部分が再生をしようと蠢いている

ドモン「まるで…生きている??」
ミカムラ「これはデビルガンダムのDG細胞に冒されているんだよ」

コントロールパネルを操作すると、その残骸にエネルギー弾が発射される
すると、残骸は一度爆発するが間髪入れずに再生し、大きくなり別の形を取り始める

ドモン「ああ………」

唖然とするドモン

ミカムラ「これがデビルガンダムの力だよ………」
ドモン「これを父さんが?」
ウルベ「その通り……この力があれば世界最強の兵器を作る事ができる」
ミカムラ「それをキョウジ君はガンダムに搭載してしまったんだ」
ドモン「それがデビルガンダム………」

次第に状況を飲み込み始めるドモン
だが、騙されている事には気づかない
その様子を気づかれないように確認し合う二人

ウルベ「………」
ミカムラ「………」

続けてコントロールを始めるミカムラ

ミカムラ「そしてこれが………」

操作を始めると、手の形をしたライトが現れる

ミカムラ「照射!」

ライトが輝くと残骸が苦しむような震えを見せる

残骸[!!!]

ドモン「残骸が………震えている?」
ミカムラ「そして………」

ミカムラの操作で手の形のライトが動き、残骸を掴む

残骸[!!!!!!!!!]

ライトの光で掴まれてしまう残骸
苦しむように消滅していく

ドモン「これはどういう事なんだ??」
ミカムラ「シャイニングフィンガーだよ」
ドモン「??」

不思議そうに聞くドモン

ウルベ「DG細胞に対抗する唯一の手段だ」
ミカムラ「言ってしまえばワクチンと特効薬だね」

スクリーンで簡易の説明図を見せる

ミカムラ「仮にDG細胞をウィルスと考え、その力に触れても感染はしないようにワクチンとして予防………更にDG細胞を破壊する特効薬の力を持っている」
ウルベ「それが今見せたシャイニングフィンガーというシステムだ」
ミカムラ「そして、それを搭載したのが………」

格納庫エリアの扉を開くミカムラ
中から一体のガンダムが現れる

《シャイニングガンダム》である

ドモン「ガンダム………!?」
ウルベ「デビルガンダムに対抗するために新たに製造したものだ」
ミカムラ「基本的にはそれまでのプロトタイプと変わらないが、今見せたシャイニングフィンガーをその手に搭載する事で、デビルガンダムやDG細胞に冒された相手を捕獲・制圧できる機体になっているんだ」

誇らしげに語るミカムラ

ドモン「シャイニングフィンガーを………」
ウルベ「今日は君に乗ってみて欲しいんだ」
ドモン「今ですか??」
ミカムラ「ああ、実戦バトルとして相手も用意してある」

もう一つの格納庫を開くミカムラ
その中から現れるプロトタイプ・ライジングガンダム

ドモン「ガンダムがもう一機?」
ウルベ「君はモビルファイターに乗るのは初めてかな?」
ドモン「いえ……一応キング・オブ・ハート用の機体には何度か」
ウルベ「じゃぁ少しガンダムになれるためにも」

微笑むウルベ

×   ×   ×

シャイニングのコクピット
モビルトレースシステムのリングが降り、ドモンの全身をラバースーツが包み込んでいく

ドモン「システムは共通だな………」

手を握り、感触を確かめるドモン

ミカムラ「ならば用意はいいね?」
ドモン「ええ!」

×   ×   ×

対峙するシャイニングとプロトライジング

ウルベ「それではガンダムファイト!レディー!」
ドモン「ゴォオオオー!!!!!」

プロトライジングに向かって拳を繰り出すシャイニング

プロト「!!!」

焦ったように拳を左の盾で防ぐプロト
続けてシャイニングの蹴りをしなやかに避けるプロト

ドモン「なかなか上手に避ける!!」

瞬間、プロトの背後を取り、羽交い締めにしようとするシャイニング

プロト「!!」

しかし、逆にシャイニングを受け流すプロトライジング

ドモン「へぇ、やるな、でもそろそろこちらも慣れてきた!!」

構えるドモン

ドモン「ここからは流派東方不敗でやらせてもらおう!!」

気迫が変わり、次々に拳をプロトに当て出すシャイニング

×   ×   ×

その模擬バトルを見ているウルベとミカムラ

ウルベ「どうですか?このままうまくいける気がしますが」
ミカムラ「確かに、ドモン君は我々の嘘を完全に信じてくれたみたいで」
ウルベ「彼は今、兄キョウジへの怒りで一杯………シャイニングの感情エネルギーシステムは怒りを必要とする以上、まさしくうってつけ………」
ミカムラ「ですが……何より運が良かったのは我々にシャイニングフィンガーが残されていた事ですな」
ウルベ「ええ、あの時」

〜回想〜
三大理論をコピーするメモリ
削除されていくデータ
そのパネルを破壊するウルベ

ミカムラ「あの時すでにデータは消えてしまいましたが、ギリギリであの特効薬のデータが生き残っていたのです」
ウルベ「カッシュ博士は三大理論の危険性を考え、その制御としてワクチンを用意していた」
ミカムラ「おかげで我々はDGに対抗する手段を得て、それをシャイニングフィンガーと名づけ………」

言いかけるミカムラ、シャイニングの起動データに気づく

ミカムラ「これは??」

バトルの様子を見るミカムラ
プロトライジングの攻撃が一方的で、技を受けるのに精一杯のシャイニング

ドモン「くっ………思ったように流派の技を活かせない………」

更に追い込まれるシャイニング

ドモン「でも……こんな事じゃ………兄さんを!!」

怒りの感情が表れるドモン
感情エネルギーの上昇データに目を見張るミカムラ

ミカムラ「おお………怒りの感情が………」
ウルベ「そんな、このテストではまだ感情エネルギーのシステムラインは繋げていなかったはずでは?!」
ミカムラ「そのはずですが………ああっ!!」

急激に跳ね上がる怒りの感情データ

プロト「!?!」

シャイニングの波動を感じ、身を強ばらせるプロトライジング
見るとシャイニングの右手が輝き始めている

ドモン「こ………これは………一体??!!」

自分の右手の異変に戸惑うドモン

ドモン「!!」

一瞬、キョウジの姿が目に浮かぶ

ドモン「に………兄さん………どうして………」

撃たれる母と冷凍刑の父親の姿が浮かぶ

ドモン「母さん………父さん………!!」

悲しみと怒りの感情が満ち溢れ出すドモン

ドモン「兄さん………兄さん………」

キョウジの表情が悪辣に見えてくる

ドモン「何故………何故こんな事を………!!!」

怒りが爆発する

ドモン「何故だぁぁあああああ!!!!!!!!」

シャイニングフィンガーの輝きが強くなる

ウルベ「これはすごい!!!」

エネルギー上昇値を見て驚くウルベ
次々とデータのロックが解除されていく

ミカムラ「ばかな!!シャイニングフィンガーのロックが解除されていく!!」
プロト「!!!」

身構えるプロトタイプ・ライジング

ドモン「俺のこの手が光って唸る!!
キョウジを倒せと輝き叫ぶ!!」

怒りに我を忘れるドモン

ドモン「必殺!!シャァアイニングゥゥウウウウウ!!!!!」

目の前のバトルで、シャイニングフィンガーを撃とうとするドモンに気づくミカムラ

ミカムラ「いかん!!それはまだ早い!!」

慌ててコントロールでシャイニングフィンガーを止める

シャイニング「!!!」
プロト「!!!」

緊急停止するシャイニングとプロトライジング

ドモン「えっ???」

ふと我に返るドモン

ドモン「い………今のは………???」

呆然と右手を見るドモンとシャイニングガンダム

ドモン「………………俺の怒りに………」

震える手の感触を確かめる

●その後………

司令室
腰が抜けてしまったように座り込むミカムラ

ウルベもまた冷や汗をかいている

ウルベ「先だっては驚きましたな」
ミカムラ「いやはや、危ないところでした」
ウルベ「確かにテストは順調でしたが、まさかシャイニングフィンガーのロックラインを開けてしまうとは………」
ミカムラ「冗談にもならん……もしあのままシャイニングフィンガーが決まれば、そのショックはパイロットにフィードバックされて………」

青ざめるミカムラ

ミカムラ「全く………プロトに誰が乗っていたと………」

落ち着きを取り戻すミカムラ

×   ×   ×

プロトタイプ・ライジングガンダムのコクピットで腰を落として冷や汗を流しているパイロット
《レイン・ミカムラ》である

×   ×   ×

ウルベ「まあまあ、それに関しては黙ってた我々が悪い」

苦笑いのウルベ

ウルベ「ですが、これでドモン・カッシュが我々の計画に最適なファイターである事が証明された」
ミカムラ「後は委員会の承認をとればいい」

ふと思い直すミカムラ

ウルベ「それで今日、娘さんは?」
ミカムラ「あぁ………母親の墓参りに出た彼をこっそり追いかけて………」
ウルベ「じゃ二人は?」
ミカムラ「ええ、まだ顔を合わせていません………」

呆れ顔のミカムラ

ミカムラ「驚かすんだって言って………全く、いつまで子供のつもりなのやら」

×   ×   ×

墓前で手を合わせているドモン

ドモン「?」

ふと気づき、後を見る

レイン「………」

レインが立っている

ドモン「レイン??………レインなのか??」
レイン「………」

ほろ苦い笑みを浮かべるレイン

●ガンダムファイトへ

安堵するウルベ

ウルベ「さて、パイロットは決定しました、ですが、もう一つ残っていることが」
ミカムラ「あぁ、サポートクルーのことですな、それならうちのメカニックから選んで」
ウルベ「いや、私はレイン君を推薦したい」
ミカムラ「娘を?!いやそれは………それはだめです!無理です!お断りします!」

驚き慌てるミカムラ

ウルベ「しかし、見たように彼女はモビルファイターをある程度動かすことはできるし、実際、最初はドモンと渡り合っていた………いざという時にきっと戦力になるはず。何より科学者としても相当なレベル」
ミカムラ「ですが、娘は」
ウルベ「幼馴染………それが良いのです。ファイト中のドモン・カッシュを見張るには、DG事件の真相を知らないレイン君が適任なんです!」

ミカムラに迫るウルベ
その表情が冷たいものになっていく

ミカムラ「そんな………娘をあの地上に下ろすなど………」
ウルベ「ドモン・カッシュとレイン・ミカムラが組む………これが計画を成功させるためのベスト!………それに、ここまで来たのです………イヤとは言えないはずでは………」
ミカムラ「う………うぅぅ………」

次第に罪悪感を覚え始めるミカムラ

×   ×   ×

冷凍装置のカッシュ博士に報告と別れを告げるドモン

ドモン「それじゃ父さん………行ってきます………そして必ず兄さんを、いえ、キョウジを捕らえて来ます!そしてガンダムファイトにも優勝して父さんをここから救い出します!!」

マントをひるがえし去っていくドモン

その情景に重なるストーカー

ストーカー「こうしてドモンはDG事件の真相を想像する事もなく、ガンダムファイターとして地球へ堕ちていく事になったのです………」

地球へと堕ちていくシャイニングガンダム

ストーカー「そして………」

●〜現在のキョウト〜

静けさに包まれた夜のキョウト
焚き火をしているブルーダー
その視線は、寝かせてあるキョウジの半身に向いている

ブルーダー「やはり信じられんな………その姿………」
キョウジ「ああ………さすがに完全に再生するまでには、もう少し時間がかかるみたいだ」

朦朧としつつ語るキョウジ

ブルーダー「いや、それだけじゃない………今の君の話だ………」

考え込むブルーダー

ブルーダー「つまり、弟は兄の君を捕らえるためにガンダムファイターに………」
キョウジ「最近になってネオジャパンの通信を傍受してわかったんだ………」

悔しさと悲しさが入り混じるキョウジ

キョウジ「ウルベとミカムラ博士は全てを私になすりつけ、弟はそれを信じて狩人としてこの地上に降り立ったんだ………私への復讐のためにね………」
ブルーダー「ふん………上の連中はいつもそうだ………自分の安全だけを考える………」

キョウジの不満を理解するブルーダー

ブルーダー「それに私も同じようなものだからな………」
キョウジ「あなたも??」
ブルーダー「はは………いや、その話は………」

悲しげに話を変えるブルーダー

ブルーダー「それよりも、その体だが」
キョウジ「ああ、もちろん見ての通り《コピー》だよ……奴らが呼ぶDG細胞でね」
ブルーダー「………」

キョウジの話に聞き入るブルーダー

キョウジ「全ては地球に堕ちた時に狂ったんだ………」

●〜回想〜地球に堕ちたキョウジ

地球を目指して堕ちるアルティメットガンダム

キョウジ「くぅぅぅううう!!!!!!」

コクピットの内部で苦痛に耐えるキョウジ

キョウジ「ブ……ブレーキを………かけねば………」

パネルを操作しようとするが、キョウジの腕が動かない

キョウジ「腕が………」

ウルベに撃たれた腕を庇うキョウジ
だが、逆噴射ができないまま大気圏に突入するアルティメットガンダム

キョウジ「まずい!!」

コントロールにあるプログラムを指示する

キョウジ「だが、こんな時にこそ三大理論が!!」

プログラム完了のサインに安堵する

キョウジ「よし!!これでたとえ激突落下してもアルティメットガンダムだけは!!」

迫る地上を見るキョウジ

キョウジ「頼む!!」

激震と共に無人地帯へと堕ちるアルティメットガンダム

×   ×   ×

〜現在〜

ブルーダー「それで無事に着陸できたのか?」
キョウジ「そんな訳にはいかなかった………」

ブルーダーの問いかけに苦笑いで答えるキョウジ

×   ×   ×

〜過去の続き〜

グシャグシャに崩れたアルティメットガンダム
その中で更に傷ついているキョウジ

キョウジ「うう………」

かすかな意識でコクピットの様子を見るキョウジ
さまざまな起動サインが見える

キョウジ「まだ………システムは………生きているぞ」

安心するキョウジ
次第に動き出すアルティメットガンダム
自己進化により、手足を掘削用に変形させる

キョウジ「良し………これで地中深くへ潜り隠れるんだ………」

地中へ潜っていくアルティメットガンダム

キョウジ「そして、再生をし、万全の形になったその時に地上に戻り………その時には………その時にはコロニーへ帰り、ウルベたちの陰謀を………」

眠りにつくキョウジとアルティメットガンダム

キョウジ(現在)「だが………そこで予期せぬ事が起きた………」

キョウジの体に当たるスキャナー
更にコクピットからさまざまな機械がその体を埋め尽くしていく

キョウジ(現在)「おそらくパイロットの私を自分の一部と勘違いしたんだろう………アルティメットガンダムは自己再生のために、瀕死だったこの私をも再生し始めたんだ………」

出来上がっていくコピーのキョウジ

キョウジ(現在)「きっと落下のショックで三大理論の解釈に歪みが生じ、システムの存続のために生体ユニットが必要になってしまったんだ」

コクピットの中の二人のキョウジ

キョウジ(現在)「そして、この私を完成させた………」

目を開くコピーキョウジ

キョウジ「………………………」

本物の自分の瀕死の姿を見て呆然となる

×   ×   ×

〜現在〜

苦笑いのキョウジ

キョウジ「なかなかのショックだったよ」
ブルーダー「まぁ………そうだろうな………」

かける言葉のないブルーダー

キョウジ「だがそんな時、オリジナルの私は目を覚ました………そして朦朧とした意識の中で、コピーの私にある事を………」

×   ×   ×

〜過去〜

朦朧としたキョウジがコピーキョウジに語りかける

キョウジ(オリジナル)「おそらく………ウルベやミカムラは、このアルティメットガンダムを諦めはしないだろう………だから奴らの考える次の手は………次の手はドモンだ………ドモンに何か仕掛けるはずだ!」
キョウジ(コピー)「まさか!」
キョウジ(オリジナル)
「そうだ!きっとドモンに魔の手が伸びる!!」
キョウジ(コピー)「………!!!………」
キョウジ(オリジナル)
「だから………頼む…お前が私に代わって影となり…ドモンを守ってやってくれ…」

×   ×   ×

キョウジ「勿論、私は自分自身の意志を受け継ぐ事に異論はなかった」

決意に奮い立つキョウジ

キョウジ「だが、それだけでは終わらなかったんだ………」
ブルーダー「??」
キョウジ「とにかく私は地上へとアルティメットガンダムを動かした」

〜過去〜

地上を目指すアルティメットガンダム

キョウジ(現在)「どうやら長い時間が経過していたらしい………そして………」

地上へと出てくるアルティメットガンダム
その前に立っている男
《東方不敗》である

東方不敗「………………」

キョウジ(現在)「まさかこんなところでドモンの師匠に出会うとは………」

喜ぶコピーキョウジ

キョウジ(現在)「私は渡りに船と喜んだ!!彼に全てを話し、これからの行動に協力を求めようとした!」

コクピットを開き始めるコピーキョウジ

キョウジ(現在)「だが………!!」

何かに気づき隠れるコピーキョウジ

キョウジ(現在)「だがその瞬間、何か不吉な予感を感じた私は咄嗟にコクピットの影に隠れて様子を見たんだ………すると………」

開き切るコクピットの前の東方不敗

東方不敗「………!!!………」

不気味な表情を浮かべている

×   ×   ×

〜現在〜

キョウジ「案の定だった………」

話す事で冷静さを保とうとするキョウジ

キョウジ「彼は、コクピットの中のオリジナルの私を見て、生体ユニットの必要性を感じ、そのままアルティメットガンダムのコントロールの方法を探り出そうとしたんだ………」
ブルーダー「どうやって?!」
キョウジ「父さんと彼は、ある事で意気投合していた………そしてそれをお互い 共通の目標としていたんだ………」

困惑するキョウジ

×   ×   ×

〜過去〜

東方不敗「ふははははは!!!!!!!
これだ!!これがあれば私の理想は叶う!!
大自然の復活!!
それをこのガンダムが可能にしてくれる!!」

悪辣な熱意で語る東方不敗

×   ×   ×

〜現在〜

ブルーダー「その方法が」
キョウジ「アルティメットガンダムによる人類抹殺!!」

息を呑む二人

キョウジ「そこでコピーである私は中に隠れたまま、アルティメットガンダムを放浪させ、まずは東方不敗から逃れようとした………」
キョウジ「そして始まってしまった第13回ガンダムファイト………更に………」

×   ×   ×

〜過去〜

世界を放浪するアルティメットガンダム

キョウジ(現在)「やはり落下の時にさまざまな異常をきたしたアルティメットガンダムは、開発の一部を担っていた私にも制御しきれず、世界各地でファイトに参加したガンダムに影響を与えてしまった………」

ネオエジプトのファラオガンダム
ネオトルコのミナレットガンダム
それら他のガンダムを襲うアルティメットガンダム

ブルーダー(現在)「だが、そんな状況ならもっと噂になっていてもおかしくないだろう?我々は聞いた事がないぞ」
キョウジ(現在)「それだ………」

アルティメットガンダムに破壊されたガンダムを目指して現れる作業班

キョウジ(現在)「ネオホンコンだ」

東方不敗と密談する男
《ウォン・ユンファ》である

キョウジ(現在)「東方不敗はファイトへのカムバックを条件に、現在の覇者であるウォン・ユンファと組み、それらの痕跡を覇権の力で揉み消しているんだ」

ガンダムの残骸を焼却する作業班

×   ×   ×

〜現在〜
キョウジ「そのせいで世界の人々は、アルティメットガンダムの存在に気づかない状態になっているんだ」
ブルーダー「なんという………」

半ば呆然となっているブルーダー、ふと気づく

ブルーダー「待てよ、それじゃあ今日アルティメットガンダムとやらが私たちネオドイツを襲ったのも………」
キョウジ「あぁ………奴はあんたたちを察知して、このキョウトへやって来たんだ………」
ブルーダー「だが、何故ガンダムを襲う??」
キョウジ「私が考えるには、元々の自然再生のプログラムが、その自然を破壊するガンダムを駆除の標的にしたんだ………そして自己増殖と自己進化に最も適しているのもガンダムなのだろう………」

×   ×   ×

〜イメージ〜
アルティメットの体内で鼓動する影
後の四天王たちの幼体である

×   ×   ×

ブルーダー「ううむ………」
キョウジ「偶然だ………アルティメットガンダムの落下損傷………コピーの私、そして第一発見者が東方不敗だった事………その全てが恐ろしい偶然なんだ………」

全ての事象に震えるキョウジ

●転機

ウルベのオフィス

ミカムラ「まずい!!」

咄嗟に気づき青ざめるミカムラ
急ぎレインと連絡を取ろうとする

ウルベ「どうしました博士?」
ミカムラ「もし、私の推論通りなら、デビルガンダムは新宿へ向かっている!何故なら今新宿にはドモン君が一度戦った強力なライバルが四人も集まっている!それを目指しての移動コース!!」
ウルベ「それが??」
ミカムラ「プロトタイプ・ライジングだ!!今あれを動かせば、起動サインを察知してデビルガンダムはキョウトへ戻ってしまうかもしれん!!」

×   ×   ×

〜イメージ〜
足を止めキョウトを振り向くデビルガンダム

×   ×   ×

ミカムラ「まだレインたちは奴のデータを取りきっていない!そんな状態で戦いになったら!!」
ウルベ「確かにまだ早い!!」

焦り通信を試みるミカムラ

ミカムラ「だめだ!!繋がらない!!」

 

続く……