第6話
ドモン「なんて事だ………」
左右に分かれて整列するDGガンダム群
その花道を幽鬼のように歩み来るウルベとリミテックスガンダム
× × ×
ウルベのオフィス
過去の自分の機体の姿を見るウルベ
ウルベ「思った通り………あれは前大会の私のガンダムです」
ミカムラ「なんと………ネオスウェーデンの彼女まで」
ウルベ「あれも強いガンダムだった………」
DG細胞に寄生されているノーベルガンダム・ルンド
ウルベ「さぁ………ドモン・カッシュはどう戦う?」
× × ×
ドモン「来るぞ!!」
構えるシャイニングガンダム
だが同時に瞬間移動のように飛び来るウルベガンダム
シャイニングを蹴り飛ばす
レイン「なんてスピード?!」
レインの遥か後方へ吹っ飛ぶドモン
追撃するウルベガンダム
ウルベG「!!!!!!!」
ドモン「こいつ!!」
ウルベガンダムの追撃を受けるシャイニング
その様子を見るレイン
レイン「ドモン!!」
ルンド「………」
追いかけようとした瞬間、横を素通りするルンド
レイン「無視された?………私じゃ相手にならない??」
唖然と冷や汗を流すレイン
同時にドモンに襲い掛かるルンド
その攻撃を受けるドモン
ドモン「こいつ!!二人がかりか?!」
次々に繰り出すウルベとルンドの攻撃
× × ×
ミカムラ「レインのプロトライジングには目もくれず………」
ウルベ「まるで初めから目標を決めているように………」
2対1のバトルを見つめるウルベ
ふとその動きに気づく
ウルベ「そうか!あの2体のガンダムは最後の戦いを記憶しているんだ!!」
ミカムラ「なるほど!その最後に東方不敗と戦い、そして今、再び同じ流派を使うドモン君が現れた………そのため、彼らの中で東方不敗を倒すという使命で今も戦いつづけているのか!」
ウルベ「そして私とリミテックスが共闘した事から、今また2対1を!」
ミカムラ「これはまずいですな」
息を呑むミカムラ
ウルベ「いや、却って取り越し苦労かもしれませんよ」
だが、ウルベは余裕である
ウルベ「何故なら………」
× × ×
ドモン「ふん!!」
ウルベガンダムの拳を避け様に掴み、そのままルンドへと投げつける
続けてウルベガンダムに追撃をかけるドモン
× × ×
ウルベ「ご覧の通り、シャイニングには私の攻撃は届いていません」
ドモンの有利を解くウルベ
ウルベ「何故なら、彼にはガンダムファイトに地球に降りる前、データバトルを私と重ねたのを覚えていますか??」
ミカムラ「あぁ、なるほど、その時のバトルで少佐の攻撃パターンを熟知して………」
ウルベ「その通り!さすがはドモン・カッシュ!!キング・オブ・ハートは伊達じゃない!!」
勝ち誇るウルベ
× × ×
ドモン「さあ、まずはお前からあの世にいってもらうぞ!!」
シャイニングフィンガーを構えるドモン
ドモン「俺のこの手が光って唸る!
お前を倒せと輝き叫ぶ!!」
輝く右手
ドモン「必殺!!シャイニング・フィンガァァァァァアアアアアア!!!!!!!」
ウルベガンダムの顔に輝く右手が決まる
ウルベガンダム「!!!!!!!!」
苦悶の声を上げ苦しむウルベガンダム
ドモン「どうだ!!まずは一匹!!」
勝ち誇るドモン
だが同時にルンドの姿が無い事に気づく
ドモン「奴は??」
周囲を見るドモン
レイン「上よ!!」
ドモン「!?!」
レインの言葉に見るドモン
そこへ飛び降りてくるルンド
ドモン「うわ!!」
突然の攻撃に思わずウルベガンダムから手を放す
同時に蹴りを喰らい吹っ飛ぶドモン
ドモン「何!?!」
見るとウルベガンダムの顔に手を当てがうルンド
そのシャイニングフィンガーで潰された顔が再生されていく
ドモン「まさか!!」
慌てて腕に蹴りをいれて2体を引き離す
だが、ウルベガンダムが手を伸ばしルンドを捕まえる
同時に武器スタンドから双鞭をそれぞれ手にする2体
ドモン「俺の武器を?!」
そのまま息を合わせた同じ動きでドモンを攻め立てる
× × ×
焦るドモンの動きの悪さに顔を曇らせるウルベ
ウルベ「まずい………ドモンにとってリミテックスの動きは初めてだ」
ミカムラ「しかも武器まで使いこなしている」
× × ×
レイン「ドモン!!今行くわ!!」
バトルに加わろうとするレイン
だが、その前に立ちはだかるDGガンダムたち
レイン「ええい!!」
包囲を突破しようとするレイン
ドモン「レイン!!」
助けに行こうとするドモン
しかし、今度はその前にウルベとルンドが立ちはだかる
ドモン「邪魔だ!どけぇぇえええええ!」
シャイニングフィンガーをルンドに決めるドモン
しかし、同時にその頭部を再生させるウルベガンダム
ドモン「させるかぁ!!」
ウルベガンダムの頭にシャイニングフィンガーを撃ち直すドモン
だが、やはりルンドに再生されてしまう
ドモン「この!この!このぉおおおお!!」
シャイニングフィンガーを連発するドモン
ドモン「フィンガ!フィンガ!フィンガ!フィンガァァァアアアアア!!!!!!!」
× × ×
その様子にコロニーから焦るウルベ
ミカムラ「いかん!!これではキリがない!!」
ウルベ「それにエネルギーも尽きてしまうぞ!!」
ふと思い立つミカムラ
ミカムラ「いや!彼はタスキスラスターを付けている!!あれを使えば一気に!!」
× × ×
レイン「そうよ!!ドモン!!タスキスラスターを引いて!!そうすれば」
言いかけたところへ折り重なるDGガンダムたち
身動きが取れなくなるプロトライジング
レイン「!!!!」
ドモン「レイン!!」
駆けつけようとするドモン
しかし、ウルベガンダムとルンドにタックルを受けてしまう
ドモン「このぉおお!!!!」
身動きがつかず押し戻されてしまうドモン
その眼前でDGガンダムに埋まっていくプロトライジング
レイン「急いで!ドモーン!!!!」
必死でシャイニングに手を伸ばすプロトライジング
ドモン「レィィイイインンンンン!!!!!!!」
プロトライジングに手を伸ばすシャイニング
ドモン「それ以上レインに!俺のガンダムに手を出すなぁぁあああ!!!!!!!」
怒りを爆発させるドモン
同時にタスキを引くシャイニングガンダム
背中のスラスターが最大出力で噴射し、
両手と共に全身が金色へと輝きだす
× × ×
ミカムラ「おお!!あれがドモン君の最大の怒りか!!」
ウルベ「素晴らしい!!予想以上のパワーだ!!」
× × ×
ドモン「シャイニングフィンガー!!スーパーモードぉぉぉおおお!!!!!!!」
タックル体勢のウルベガンダムとルンドの頭を掴み、力任せに持ち
上げるドモン
ドモン「ダブリュゥウウ!!!」
掛け声と共に二人の頭部を握りつぶすシャイニングフィンガー
その全身が金色の輝きに包まれる
二体「!!!!!!!!!!!!!!!」
ウルベ、ルンドの2体が断末魔の叫びを上げ、爆発する
ドモン「レイィィィィイイイインンンンンン!!!!!!!」
その爆発の中から飛び出すシャイニングガンダム
DGガンダムの山を払い飛ばし、プロトライジングを抱き上げる
レイン「ドモン!ありがとう!」
ドモン「大丈夫か?!!」
レイン「ええ!あなたのガンダムはね!!」
ドモン「あ?え?うん??」
少しご機嫌斜めのレインに首を傾げるドモン(わかってない)
プロトガンダムをいたわり下ろす
レイン「それより………」
危険を感じ周囲を見るレイン
更に増えたDGガンダム群が前進して来る
ドモン「まずいな………既に武器は使い切ってるし………」
レイン「残ったのはこの刀だけ………」
武器スタンドに残った一本の刀を見るプロトライジング
ドモン「それにスラスターもさっきので………」
オーバーヒートしたタスキスラスターが地面に落ちる
ドモン「一難去ってまた一難………」
レイン「残ったエネルギーでどこまで戦えるか………」
ドモン「俺に考えがある………」
レイン「え?」
× × ×
スクリーンを不思議げに見るウルベとミカムラ
ミカムラ「何をするつもりだ??」
ウルベ「もしかしたら………」
× × ×
迫りつつあるDGガンダム
その前にあぐらを組んで座り込むシャイニングガンダム
武器スタンドに残った刀を抜き取るプロトライジング
レイン「本当に………とんでもない補給になったわね」
ドモン「いや、この最後の手段に使えるだけ良かったよ」
シャイニングガンダムの後ろに立つプロトライジング
両手で握った刀をその首に降し当てる
レイン「本当にいいの??」
ドモン「ああ、一気にバッサリやってくれ」
自分の首を手刀でトントンと叩くドモン
ドモン「いいか?ガンダムファイトのルールでは、あくまで頭を潰されたら負けだ」
レイン「でも逆に言えば頭を潰されず、頭部に仕組まれた生存シグナルが出ている間は負けにはならない」
ドモン「だから、俺の首を斬って、レイン、お前がプロトで持って逃げろ……そのくらいのエネルギーは残っているはずだ………」
レイン「その後、ライジングのボディに首を接続すればファイトに戻れる」
ドモン「俺は残ったシャイニングのボディで連中と戦って時間を稼ぐ、その間にお前は首を死守して逃げるんだ」
× × ×
ミカムラ「なるほど………」
ウルベ「危険だが、それしか今は………」
見るとDGガンダム群が目前に迫っている
× × ×
あぐらを組んだ足に力を入れ、胸を張るシャイニングガンダム
両手を胸の前で合掌する
ドモン「あぁ、さっさとやってしまおう」
レイン「ええ………」
刀を握る手に力が入る
首に当てられた刀が静かに引かれ、シャイニングの背中で八双に構えるプロトライジング
ドモン「………」
覚悟を決めるドモン
その心を照らすように刀の刃が美しい輝きを放つ
レイン「!!」
刀を振り降すレイン
輝きがシャイニングガンダムの首めがけて弧を描き走る
その瞬間、
声「早まるな!!これに乗って逃げろぉぉおお!!!!」
声と共に一台のガンダム用サイドカーがDGガンダム群を跳ね飛ばし現れる
ドモン・レイン「何?!」
二人の前にドリフト停止するネオドイツサイドカー
だが、そのシートにはガンダムの姿は無い
ドライバーのいないサイドカーに驚く二人
ドモン「だ、誰だ?!?」
声「そんな事はどうでもいい!!急げ!!!」
姿の見えない声に押され、サイドカーに乗り込むシャイニングとプロトライジング
声「武器はサイドカーに積んである!!好きに使ってここを脱出しろ!!」
レイン「でもあなたは?!」
声「うるさい!行けぇえ!!」
声と共にヘッドライトが付き、合図も点灯
続けてアクセルが回り、発進準備完了するサイドカー
声「いいか?!東だ!東へ行け!!デビルガンダムはそこへ向かった!!そしてお前は必ず奴を倒すんだ!!」
ドモン「なんだって?!」
声「あれを倒せるのは、真っ赤に燃える手を持った《ドモン・カッシュ》!お前だけだ!!」
ドモン「どうして俺の名を?!………いや??こ、この声は??」
一瞬聞き覚えのある声に躊躇するドモン
声「さぁ行け!!ここは俺にまかせろ!!」
声と共にシャイニングガンダムの手に何かが重なり触れ、サイドカーのアクセルを回す
ドモン「!」
猛スピードで走り出すサイドカー
ドモン「!!今のは一体誰だ??!」
だが、その前方に回り込むDGガンダムたち
ドモン「こうなったら頼む!レイン!!」
レイン「わかったわ!!」
サイドカーに座り込み機関砲をセットするプロトライジング
レイン「そこをどきなさい!!」
DGガンダムたちを撃ちまくるレイン
開いていく突破口を疾走するサイドカー
その横を追いかけ走り迫るDGガンダムたち
ドモン「レイン!!タンデムシートに来い!!」
レイン「わかった!!」
シャイニングの背中に抱きつかまり、二人乗りになるプロトライジング
ドモン「サイドカーを切り離す!!」
ドモンの掛け声と共に、バイクと分離するサイドカー
そのままDGガンダムの群れに突っ込み自爆する
ドモン「いいぞ!!このまま!!!」
レイン「だめよ!!早いのが一体残ってる!!」
爆炎の中から迫る高速型DGガンダム
迫りつつ背中のプロトライジングに攻撃を加える
レイン「あぁぁあ!!」
シャイニングの背中からすり落ちるプロトライジング
そのまま引きずりスピードが落ちるバイク
ドモン「こっちへ来い!レイン!!」
レイン「わかったわ!!」
コクピットを開き、手を伸ばすシャイニングに乗り込むレイン
その瞬間、高速型DGガンダムに踏み潰されるライジング
レイン「ライジングが!!」
更にスピードを増す高速型の攻撃が迫る
ドモン「追いつかれる?!」
その瞬間、突然に頭上から落ちてきた何かに潰される高速型
レイン「何あれ?!」
見ると、乱れたステルスの中にモビルファイターの影がある
ドモン「また、さっきの奴か?!でも一体誰が………」
ふと聞き覚えのある声を思い出すドモン
× × ×
声「あれを倒せるのは、真っ赤に燃える手を持ったドモン・カッシュ!お前だけだ!!」
× × ×
ドモン「まさか………あれは………」
声の主の正体に迫るドモン
ドモン「いや!そんなはずはない!!行くぞ!レイン!!!」
声の主を振り切るようにバイクを走らせる
ドモン「そんなはずは!!そんなはずはない!!!」
× × ×
疾走し、消えていくドモンの後ろ姿を見送る声
声「ドモン………」
●〜回想〜シュバルツ・ブルーダーの誕生
地面に寝かされたブルーダー
その姿に寄り添うキョウジ
ブルーダー「いいな………羨ましいぞ………その体がネオドイツにもあれば、弟も………」
キョウジ「………………」
キョウジの足が元通りに再生している
その足を微笑み見るブルーダー
ブルーダー「俺もそろそろ限界だ………ほら、これを受け取れ………俺の忍者マスクと軍服コートだ………これでお前はシュバルツ・ブルーダーになれる!!はは………最後のゲルマン忍法、変わり身の術だ………さぁ、その姿で堂々と弟を助けてやれ!そしてより良い勝利を目指して戦え!!」
意識が薄れていくブルーダー
ブルーダー「いいな………絶対に…俺の二の舞いに………なるな………」
キョウジ「………………………」
その手からマスクと軍服を受け取るキョウジ
キョウジ「………すまない………」
ブルーダー「………………」
息を引き取るブルーダー
キョウジ「そして感謝する!!!」
軍服コートをひるがえし着込み、
マスクを付けるキョウジ
キョウジ「今日から私はネオドイツのガンダムファイター!
シュバルツ・ブルーダーだ!!」
《シュバルツ・ブルーダー》として再生を終えているキョウジ
シュバルツ「ガンダム・シュピーゲルゥゥゥウウウウウ!!!!!!!!!」
指を鳴らすキョウジ
掛け声と共にステルス機能を解き、姿を表すシュピーゲル。
●エピローグ
シュバルツ「待っていろドモン!!俺もすぐ東へいく!!だがその前に!!」
ドモンの壁になり、担いでいた棺桶から機関砲を出し構えるシュピーゲル。
DGガンダム「!!!!!!!!!!!!!!」
迫り来るゾンビGたちがデスアーミーの大群へと自己進化していく。
その前に立ちはだかり、両肘のナイフを構えるシュピーゲルとシュバルツ。
シュバルツ「さぁ来い!!デビルガンダム!!」
英雄変生END