三侠新傳
〜東方のたま

新宿編その2

●都庁ビル・残骸の最上部

人気の無いフロア

床下から様子をうかがうジュニアとエイチ

エイチ「………………気配は消してるけど」
ジュニア「………………いる………」
エイチ「!!」
ジュニア「!!」

黙って頷きあう二人

ジュニア「出てこいドモン・カッシュ!!」

飛び出すジュニア
瞬間、銃声が響きジュニアの頭上をかすめる

ジュニア「!!!」

驚き、瓦礫の陰に隠れるジュニア

ジュニア「銃を使うなんて卑怯だぞ!それでも武闘家か!!」

隠れつつ構えるジュニア
だが、今度は後ろから銃弾がジュニアをかすめる

ジュニア「後ろから?!」
声「へへっ、経験が足りないなぁ〜〜〜」
ジュニア「何?!」

背後に構え直そうとするジュニア
そこへ上がってきたエイチに頭を押さえられる

エイチ「あかん、ウチらのボロ負けや、ホンマやったら最初の一発でインケツや」
ジュニア「た、確かに………」

言いくるめられるジュニア

エイチ「ほな、ご挨拶せなな」

ジュニアの背後に進み、壁際のシートを剥ぎ取るエイチ
すると、その裏から人影が現れる

ジュニア「え?今のシート、あの時と同じ??」

驚くジュニア
ハンターたちから逃げた時のマントを思い出す

ジュニア「まさか、ステルス??それにこいつ知ってる!!確か………」

エイチも続ける

エイチ「その通りや、あんたの父親、東方不敗の一の子分」
ジュニア「ミケロ・チャリオット!?」

人影は元ネオイタリアのガンダムファイター
《ミケロ・チャリオット》である

ミケロ「いよう………久しぶりだな、小娘」
エイチ「いつ振りやろ?」
ジュニア「おいおい、どうしてこいつが………??それにドモン・カッシュがいるんじゃなかったのか?」

周囲を見回しうかがうジュニア

エイチ「見てわからん奴は聞いてもわからん、また逃げられたわ」

ミケロに背負っていたリュックを投げ渡すエイチ

ミケロ「おお〜〜助かった、食糧も弾も切れかけてたんだ」

リュックの中から食料を取り出し食べるミケロ

エイチ「多分こんな事やろ思てな」
ミケロ「すまねぇ、苦労かけるな」
エイチ「で?あのアホ親父は?」
ミケロ「あぁ、ドモンなら1週間前になるかな?出ていったよ」
エイチ「え〜〜〜??また勝手にか!?ホンマ使えん奴っちゃな〜〜〜」

呆れるエイチ

エイチ「で?あのスカ親父どこ行くて?」

話に置いていかれるジュニア

ジュニア「ちょちょ、ちょっと待った、さっきからドモンの事をアホ親父とかスカ親父とかって?」
ミケロ「ああ、こいつ、ドモン・カッシュの娘だぜ、知らなかったのか?」
ジュニア「はぁ〜〜〜???????」

大口を開け驚くジュニア

エイチ「そおか、名字までは言うてなかったか?」

わざとらしく気づくエイチ、声高らかに名乗りを上げる

エイチ「ほな改めて、ウチはエイチ・カッシュ!!レイン・カッシュの娘や!!」
ミケロ「ってハハ、そこはドモンのじゃないんだな?」

皮肉げに笑うミケロ

エイチ「当たり前や!!この完全無欠の美少女の欠点はあのヌケ作と繋がってる事だけやからな!」
ジュニア「そっか………それでさっき………」

×      ×      ×

エイチ「博士はDG事変のすぐ後に病気が進んで、今は意識がないねんて………」

寂しげなエイチ

×      ×      ×

エイチ「せや……さっきも言うた通りウチのおじいちゃんはな、医学のためにアルティメット三大理論を作ったんや」

悲しげなエイチ

エイチ「けど、それを自分のために応用する事はでけへんまま………」
ジュニア「それってやっぱり父上のせいか………」

責任を感じるジュニア

エイチ「いいや、それは違うわ………全部悪いんはウチのドモンパースケや!もっとちゃんと師匠と話してれば喧嘩もせんですんだのに、口より拳を出す事しかできへんからや!!ほんまに武術家失格や!!」

腹を立てるエイチ

ジュニア「って何もそこまで言わなくても」
エイチ「あかん!!悪口やったらノート3冊分溜まってるんや!!」
ジュニア「うへぇ………なんて親子なんだ??」

困惑するジュニア

ミケロ「まあまあ、お前だってあの東方不敗の息子なんだろう?だったら似たり寄ったりじゃねぇか」
エイチ&ジュニア「一緒にするな!!」

声が合ってしまう二人

×      ×      ×


ランタンを囲む一同

ジュニア「あ〜〜〜あ………今度こそって思っていたのに………」

疲れを露わにするジュニア

エイチ「で、あのヤモリ親父、あんたを置いてどこ行ったんや?」

少々ミケロを心配げに見るエイチ

ミケロ「なんでも今度こそ確かな情報が入ったって言ってな」
ジュニア「それって、東方の珠の事か?」
ミケロ「ああ、やっと見つけたらしい」
ジュニア「じゃあドモン・カッシュは珠を持っていなかったんだ………」

肩の力が抜けるジュニア

ジュニア「でも、どうして新宿に?」
ミケロ「ああ、ここは忘れられない場所だって言ってたな………、何せドモンにとっちゃ師弟対決の始まりの場所だし、デビルガンダムが成長のために隠れてたところだ………もし東方不敗が珠を隠すとしたら………」
ジュニア「ありえるか………」

その先を確認するエイチ

エイチ「けど、ここには無かった」
ミケロ「………ああ………」
ジュニア「じゃあどうしてあんたまでここに??」
エイチ「それはええやろ!ミケロの勝手や!」

ジュニアの疑問を止めようとするエイチ

ミケロ「いいよ、別に知られたって」

エイチを止め、上着をはだけるミケロ
その体はDG細胞に冒されボロボロになっている

ジュニア「うわ………」
エイチ「……………」

目を逸らす二人

ミケロ「あのドヤ街の連中、ドモンのついでに俺も捕まえようとしてたんだ………何せこれだけ大量のDG細胞だ………CDGCに突き出しゃぁいい金になる」

苦笑いで自分の体を撫でる

ジュニア「これって………俺の父上が………」

責任を感じるジュニア

ミケロ「いやぁ、そりゃ違う………全て俺が自分で望んだ結果さ………そうさ………ドモン・カッシュに勝つためにな………」

過去を懐かしむミケロ

ミケロ「それに俺が今こうして生きているのもドモン・カッシュのおかげなんだ」

●ミケロの回顧

第13回大会・ランタオ島決勝の決着後
ベルチーノ警部に連行されていくミケロ

ミケロ「あの決勝大会の後………運良く命が助かった俺は死ぬまでムショ入りを覚悟したんだ………でもよ、どこのムショでも俺をぶち込むのを嫌がったんだ………」

いくつもの刑務所を背にするミケロとベルチーノ

ミケロ「何せこの体だ、それにDG事変の事を考えりゃ無理はねぇ……結局、地元の留置所で俺を閉じ込めるしかなくてな………」

鉄格子を挟んで呑んだくれてるミケロとベルチーノ

×      ×      ×

ミケロ「笑えるだろ??で、そんな時だ」

皮肉な笑いでジュニアを見るミケロ

ミケロ「あのドモン・カッシュがベルチーノを訪ねて来たんだ………で」

×      ×      ×

〜回想〜

留置所へと来るドモン

ドモン「俺に考えがある」
ミケロ&ベルチーノ「???」

ドモンの提案に聞き入る二人

ミケロ(現在)「で、俺をCDGCのコロニー研究所へ連れて行ったんだ」

CDGCコロニーへと向かうミケロとドモン

ミケロ(現在)「ドモンが言うにはここなら隔離施設がある、適切なDG細胞の管理を受けて生きながらえろ………そう言ってまた旅に出た………」

ミケロと別れるドモン

×      ×      ×

〜現在〜

ジュニア「旅って、東方の珠を探しに?」
ミケロ「そう言ってたな………」

頷くミケロ

エイチ「それが10年前、ウチが2歳の頃の話やねんて………それからゴミ親父は珠探しに明け暮れて、たま〜〜〜にCDGCのおかあはんの所に帰ってくる程度………一人娘のウチのこともほったらかして、全部おかあはん任せや!それで父親やて言えるか?!」
ジュニア「それは大事な珠を探して…」
エイチ「ふん!!そんなん勝手な言い訳や!!大体ミケロみたいなDG細胞の塊連れて来てやな」
ミケロ「………」

苦笑いのミケロに気づくエイチ

エイチ「あ………いや………今のごめんやで………」
ミケロ「気にすんな、実際厄介な体なんだからよ、ま、続けて続けて」

エイチに微笑むミケロ

エイチ「うん………」

ミケロの気遣いに、頷き仕切り直すエイチ

エイチ「1年くらい前、あのドザエモン、またふらりと帰ってきたのはええけど、そこでえらいもんを見たんや!」

次第にムカつき始めるエイチ

×      ×      ×

〜回想〜

CDGCに帰ってくるドモン

×      ×      ×

ジュニア「えらいもん?」
エイチ「せや!!なんとCDGCはミケロの体で人体実験の真似事してたんや!」
ミケロ「………」

×      ×      ×

〜回想〜

DG実験を受けているミケロ

ドモン「!!!」

その状況に愕然となるドモン

×      ×      ×

エイチ「これほどDG細胞に冒された状態で生き延びてるミケロの体は貴重や言うて、研究しまくりよったんや!!」
ミケロ「そんな俺を見たドモンは、ミケロを即刻解放しろって掛け合ったんだ………何せCDGCに俺を入れたのはドモン自身だからな、責任を感じたんだろ?………でもそれは叶わなかった」

×      ×      ×

カラトに直談判するドモン
続けてレインにも怒鳴り声をあげるドモン
困惑するレイン

×      ×      ×

エイチ「勿論おかあはんも実験には反対して、研究には参加せぇへんかったけどな」
ジュニア「でも、それってドモン・カッシュは悪くないんじゃないか?なのにどうしてゴミとかゲジゲジ親父とかってそんな悪口を?」
エイチ「当たり前や!ええか?!あいつな、板挟みで悩んでるおかあはんにこう言うたんや!」

最高潮に怒るエイチ

×      ×      ×

ドモン「勝手にしろ!!ミケロを解放しないなら、俺は実家に帰らせてもらう!!」

×      ×      ×

吐き捨てるように言い放つエイチ
その言葉に呆れるジュニア

ジュニア「実家に………って、どこに帰るってんだよ?」
エイチ「せやからあいつはアホなんや〜〜〜!!!」
ミケロ「はははははは!!!!!全くドモンらしいよな!」

自分が原因なのに笑いが止まらないミケロ

エイチ「ほんでもって、一緒に来てたベルチーノが大暴れして、その隙にミケロを連れて地球に降りたんや!しかもゴッドガンダム用の出来立て新型コアランダーパクってや!」

×      ×      ×

大暴れしてミケロを隔離室から出すベルチーノ
新型コアランダーに乗り込むドモン
二人を乗せて地球に逃れる

×      ×      ×

エイチ「おかげでウチらはCDGCでどんだけ肩身の狭い思いをしたか!!後ろ指の雨アラレやで!!で結局おかあはんはCDGCを辞める事になったんや……」

怒りが湧き上がるエイチ

エイチ「せやのにあいつは《俺の珠はどこだぁ〜〜〜!!》《俺の珠は誰にも触らせない〜〜〜!!》とか言うて、家族の事はほったらかしといて好き勝手な事ばっかり!!その挙句がこの始末や!ウチはもうアレを親とは思わん!!そない決めたんや!!ホンマ知らんで!!次おかあはんと会う時はカッシュやのうて元のミカムラに戻ってるかも知れんのに!!そしたら……そしたらウチどないしたらええねん〜〜〜」

泣き叫ぶエイチ
それを泣きマネと見抜いているジュニア

ジュニア「そんなこと言って………決めてるんだろ?」
エイチ「そらミカムラや!ウチはエイチ・ミカムラになるねん!!」

すっぱりと言い放つエイチ

ミケロ「はっはっはっはっはっ!!!!!聞いてりゃ俺をダシに家族喧嘩かよ〜〜〜」

笑い飛ばすミケロ

エイチ「けど実際、おかあはんはCDGC辞めて別居生活!!クズ親父が謝らなミカムラ戻り絶対や〜〜〜!!」
ジュニア「で、それがドモン・カッシュをどつく理由………?」
エイチ「決まってる!!アホ捕まえておかあはんの前に引きずり出して詫びいれさせるんや!!せやないとおかあはんの立場がない!!」

空中に浮かぶドモンのイメージに殴りかかるエイチ

ミケロ「でもな、俺はドモンにはありがたく思ってるぜ………なにせ、どうせ死ぬなら故郷のネオイタリアでって、連れ帰ってくれたんだ………でも、既にDGハンターたちに待ち伏せされててな、ベルチーノの手引きでドモンと一緒にこの新宿に逃れたって訳だ」

突然、不敵な笑みと共にライフルを構えるミケロ

眼下に向かって撃つ

西口の地下鉄入口付近で狙撃されるハンターたち

ミケロ「ふん、結局ギルドの連中に嗅ぎつけられてこの有様だけどな」

見ると西口にハンターたちが集まっている

ミケロ「だがな、どうやら今度は本当に探していた珠のありかが分かったらしい!」
ジュニア「珠のありかが?!」
ミケロ「そうだ、珠を見つけてすぐに帰って来るって言ってたが、どうやら手間取ってるらしいな」

次のハンターを狙うミケロ

ジュニア「じゃあ、あんたはドモン・カッシュがどこに行ったか知ってるんだな?!」

思わずミケロに詰め寄るジュニア

ミケロ「ああ………」

言葉を濁しぎみに応えるミケロ

ジュニア「頼む教えてくれ!!ドモン・カッシュが向かった先に東方の珠はあるんだろう?!だったら!!」
ミケロ「やめとけ………お前にゃ無理だ………」
ジュニア「無理って?!」

ミケロの言葉に焦りと疑問を高めるジュニア

ミケロ「………………」
エイチ「ええでミケロ、ウチも知りたいわ」

穏やかにミケロを促すエイチ

ミケロ「………《ギアナ特区》だよ………」
ジュニア&エイチ「ギアナ特区??!!」

驚く二人

エイチ「けどあそこは………」
ミケロ「そうだ………CDGCが制定したDG特区だ………」
ジュニア「………噂は聞いてる………」
エイチ「確か世界一ぎょうさんDGダストが残っとる場所や」
ミケロ「あぁ、おかげで《ギアナ特区》は世界中から腕利きのハンターが集まって、日々DGダストを掘り返しては奪い合う、いわば弱肉強食の無法地帯だ」

×      ×      ×

〜イメージ〜

世界地図のギアナが拡大される
その地に集まるDGハンターたち
DGを手に争うハンターたち

×      ×      ×

ミケロ「だが問題は、ギアナ特区へ入っても出てきた者はいないって事だ………」
エイチ「噂やと制定したCDGCも介入できへん事態になってるらしいとか……」

ミケロに頷くエイチ

ミケロ「それが最近ギアナを統治する人間が、東方の珠を発見したって宣言したんだ」

×      ×      ×

〜イメージ〜

輝く珠を手にした男のシルエットがギアナの地図に浮かび上がる

×      ×      ×

ミケロ「でもこれはまだ噂に過ぎず…ってとこでな、この辺の連中の耳には入ってない」

眼下の西口に集まるハンターたちを見る

ジュニア「じゃ、あいつらは何を狙って集まってるんだ??」
ミケロ「おそらくエイチがドモンの娘って事がバレたんだろ………だから捕まえて、ドモンに珠と交換を迫るつもりなんだ」
エイチ「あちゃ〜〜〜」
ジュニア「じゃ俺は??」
ミケロ「俺もお前もエイチ確保のオマケとついでだよ」
エイチ「そんなアホな………って、やっぱりネズミ親父のせいやないか!どこまでウチに迷惑かけんねん!!」

都庁ビルに迫り来るハンターたち

ミケロ「そこでお前たちにドモンから伝言だ」
ジュニア&エイチ「え?」
ミケロ「ドモンはお前たちが自分を追いかけてここへ来るって分かっていた………でな、その時はこう言ってくれって」

×      ×      ×

ドモン「逃げろ!!」

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ミケロ「ってな」
ジュニア「って、こうなる事もわかってたってか!?」
エイチ「それ先に言え、ちゅうねん!!」

怒るエイチ

ミケロ「さあて、どうする?」
ジュニア「そりゃ答えは一つだろ?なおさらドモン・カッシュをぶん殴る!!」

決意に頷くジュニア

ミケロ「だったらエイチを守ってここから逃げろ!!奴らは俺が始末してやる!」
ジュニア「え?」
エイチ「そんなんアカン!!ミケロも一緒に」
ミケロ「無理無理」

膝に掛けていた毛布をめくるミケロ
下半身がDG細胞で固まっている

エイチ「ああ………」
ジュニア「これじゃ………」
ミケロ「まぁ、ここは俺にまかせろ」

ライフルを構えるミケロ

ミケロ「ふん………俺も歳食って丸くなっちまったな〜〜〜」
ジュニア「大丈夫だ!俺が背負って!!」

ジュニアの様子に笑いが込み上げるミケロ
連続してハンターを射撃する

ミケロ「無理すんなって!俺はお前の親父さん、不敗の旦那にゃぁそれなりに世話になった………そうさ………俺は初戦でドモン・カッシュに敗れた………なのに、そんな俺に再挑戦させてくれたんだ………だから今度は俺に恩を返させろや」
ジュニア「でも………」

逃げる事に躊躇するジュニア
そこへ都庁ビルが直接攻撃を受ける

エイチ「!!!」

激震の中、西口を見るエイチ

ハンターたちの後方からゼウスガンダムが接近してくる

エイチ「やっかいなんが出て来よった!!」
ミケロ「心配するな!!俺にはこのライフルがある!!」

ライフルを撫でるミケロ

ミケロ「こいつぁな、俺の仲間だったチャップマンってのが愛用してた一品でな………軽く狙えば百発百中!!まるであの旦那の魂が宿ってるみたいだぜ………」

ライフルを構えて連射するミケロ
次々に倒れるハンターたち

ミケロ「さあ行け!!マスター・ジュニア!!」

×      ×      ×

都庁ビルを背に、エイチの手を引き走るジュニア
その背後に迫るハンターたち

ジュニア「来るぞ!!」
エイチ「こんな奴ら!!」

戦闘態勢をとる二人

ハンターたち「捕まえろ!!」
「女の方だけでいい!!」

エイチに集中するハンターたち

ジュニア「そうはさせるか!!」

ハンターたちを蹴散らすジュニア
しかし数人がエイチに立ちはだかり迫る

エイチ「なにすんねん!!」

ハンターたちに取り付かれるエイチ
ソロバンを打ち付けるが、次第に囲まれてしまう

ジュニア「エイチ!!!」

ハンターを振り切りエイチに駆け寄ろうとするジュニア

ハンターたち「!!!!!」

その瞬間、エイチに取り付いたハンターたちが撃ち倒される

エイチ「ミケロ!」

見ると都庁ビルからミケロが射撃している

ジュニア「助かっ………!!」

言いかけると同時に、巨大な激震が響き渡る

ジュニア&エイチ「!!!」

ミケロのいた場所にゼウスガンダムの拳が突き刺さっている

ジュニア「ミケロォオオオオオオ!!!!!!」

×      ×      ×

ミケロ「チィ〜〜〜!!!」

這い上がり、崩れかけるビルの上でライフルを撃つミケロ
そのミケロに迫るゼウスガンダム

マーキロット「ふふん!!いいざまだなミケロ・チャリオット!!かつてのデビルガンダム四天王の勢いはどこへ行った?!それとも何か?やはり東方不敗がいなけりゃダメか?!」
ミケロ「それは自分で確かめろ!!」

その瞬間、ゼウスガンダムの顔面が撃ち砕かれる

マーキロット「何ぃいい????」

驚き銃弾が来た方を見るマーキロット
同時に都庁ビルの中から巨大なジョンブルライフルを持ったネロスガンダムが立ち上がる

ネロスガンダム「!!!!!!!!!」
マーキロット「おのれぇええ!!いつの間にガンダムを!!」
ミケロ「これが俺の最後のファイトだぁああああ!!!!!!!」

コクピット内でライフルを構えるミケロ

ミケロ「喰らえ!!ジョンブルショットォォォオオオオ!!!」

連射するネロスガンダム
ゼウスガンダムの頭部が完全に破壊される

マーキロット「くぅぅう!!頭がぁあああ!!」

コクピットスクリーンにヒビが入る

ミケロ「ははは!!!!!これがガンダムファイトだったら、即失格だぜぇええ!!!」
マーキロット「だが!!」

全身に力を込めるゼウスガンダム

マーキロット「ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

頭部が再生していく

ミケロ「何?!自己再生だと?!」
マーキロット「ははは!ランタオ島ではやられちまったが、ほんの少しだけDG細胞の力が残ってたのさ!!」

勝ち誇るマーキロット

マーキロット「さあ、今度はこちらの番だぁああ!!」

構えるゼウスガンダム

マーキロット「裁きのイカヅチィィィイイイイイ!!!!!!!」

ゼウスガンダムの一撃がネロスガンダムに突き刺さり、都庁ビルごと完全に崩壊していく

ジュニア「ミケロォォオオオオオオ!!!!!!!」

呆然と見るジュニアとエイチ

崩れ落ちていく都庁ビル
その中を乗り越えてくるゼウスガンダム

エイチ「あかん!やっぱり我慢でけへん!!」
ジュニア「あぁ!俺もだ!!」
エイチ「ミミズ親父の前にあいつシバキ倒したる!」

ジュニアに迫るエイチ

エイチ「一緒にやるで!文句ないな!!」
ジュニア「勿論だ!!でもどうやってガンダムと戦う?!」
エイチ「決まっとる!!ウチらには強い相棒がおる!!」

瓦礫を走り降りるエイチ

ジュニア「って、これは???!!!」

エイチの前にあるものに気づくジュニア

エイチ「目には目を!歯にはとっておきの歯、いいや牙やぁ!!」

怒りに燃えるエイチ
その後に巨大な影が現れる

エイチ「見てろやデカいおっさん!どついてシバイて泣かしたる!!」

×      ×      ×

爆炎の中のゼウスガンダム

マーキロット「さぁ、出てこい!!ドモン・カッシュの娘!!」

周囲を見渡すゼウスガンダム

マーキロット「貴様を人質に東方の珠を手に入れ、最強のハンターに!そして今度こそガンダムファイトに優勝してやるぅううううううううう!!!!!!!!!」

咆哮するマーキロット

声「やれるもんやったらやってみぃ!この電信柱のおっさんがぁ!!!」
マーキロット「何ぃ!!」

突然の声に周囲を見るマーキロット

声「ここや!ここぉおおおお!!!!!」

見ると、エイチが手を振って立っている

エイチ「早よこっち来いやぁ〜〜〜!!でかいだけが取り柄のボケがぁ!!耳の穴から手突っ込んで奥歯ガタガタいわせたるでぇ〜〜〜!!!」
マーキロット「ふざけやがって!!」

エイチの余裕にムカつくマーキロット

マーキロット「まぁいい!!覚悟はできたなら、今捕まえてやる!!」

鞭を打ち鳴らし構えるマーキロット
同時に地中から二匹のガンダムヘッドが現れる

マーキロット「行けぇええええ!!!!!」
ガンダムヘッド「ぐわぁぁぁぁああああああ!!!!!!」

マーキロットの命令を受け、蛇状の体をくねらせ猛スピードでエイチ目指して走り出すガンダムヘッド

エイチ「来よった来よった!!アホが来よったでぇええええ!!!!!」

平然と待ち構えるエイチ

マーキロット「うるさい!どっちがアホか教えてくれるわぁあ!!やってしまえ!ガンダムヘッドォオオオオオオ!!!!!!!」
ガンダムヘッド「くわぁぁああああああ!!!!!!!!!!!」

エイチに噛みつこうと迫るガンダムヘッド

エイチ「いらっしゃいませぇ〜〜〜!!!」

両手の掌をガンダムヘッドに向けるエイチ
その瞬間、エイチの前方でガンダムヘッドが何かの壁にぶち当たったように衝撃を受け止まる

マーキロット「な…何?????」

空中で静止したままのガンダムヘッドに驚くマーキロット

ガンダムヘッド「がががががが?????」

身動きがつかずに焦るガンダムヘッド

エイチ「ええ子やええ子や、そのまま大人しゅうしときぃ!」

地面にズドンと頭を打ちつけられるガンダムヘッド

マーキロット「ど、どうした?!戻れ!とにかく戻れ!!」

ガンダムヘッドの尻尾を握り引き戻そうとするゼウスガンダム
しかし、ガンダムヘッドは身動きができない

エイチ「こらおもろい!!ペットみたいにキャィン言うとるわ!!」
マーキロット「なんだとぉおお!!!待ってろ!今ワシが助けてやる!!」

走り出すマーキロット

エイチ「遅い遅い!」

意地悪げに笑い、指を鳴らすエイチ
その瞬間、ガンダムヘッドの頭がベコベコに握り潰される

ガンダムヘッド「!!!!!!!!!!!!!」
マーキロット「ベティ〜〜〜!!チャーリィィイイイ!!!!!!」

名前を叫び愕然となるマーキロット

エイチ「なんや、名前なんか付けてほんまにペットやったんか?そらかわいそうな事したな!!」

同時に爆発するガンダムヘッド

その爆炎の中に巨大な影が見える

マーキロット「あれはガンダム!?!」

驚くマーキロット

ジュニア「良し!来いエイチ!!」
エイチ「よっしゃぁ!」

コクピットに飛び込むエイチ

エイチ&ジュニア「ガン!ダァァアアアアアアアアアアムゥゥゥウウ!!!!!!!!!」

コクピット内で構えるエイチとジュニア

ジュニア「二人がかりで!」
エイチ「やったんでぇ〜〜〜!!!」

同時にステルスを解き、姿を現す巨体
《ガンダムシュピーゲル》である

エイチ「パチキ入れたるぅ〜〜〜!!!」

飛び出すシュピーゲル
強烈な頭突きを喰らうゼウスガンダム

マーキロット「ぐぁああ!!!!」

シュピーゲルを捕まえようとするゼウスガンダム
瞬間、姿を消したり現したりとその居場所を撹乱する

マーキロット「くっ!!この!!ステルスか!!それに?!」

腕のナイフでゼウスガンダムに一撃を加えるシュピーゲル

マーキロット「この速さ、ゲルマン忍法?!だが何故!!」

シュピーゲルの動きと速さに翻弄されるマーキロット
その体にいくつもの傷跡ができるゼウスガンダム

ジュニア「すごいなエイチ!どこでこんなガンダムを?!それにこの技は?!」
エイチ「おかあはんがネオドイツの女やっとったとき、シュバルツおじさまからデータを貰ってたんやて、それをウチがパクったってん!ネオドイツには内緒やで!?」
ジュニア「でも見つかったら?」
エイチ「問題ない!!識別サインは潰してあるし、いっつもステルスかけてんねん!」

よろめきつつ立ち向かうマーキロット

マーキロット「なるほど………だがなパターンが見え見えだ!」

突然シュピーゲルの首を捕まえるゼウスガンダム
ステルスが解け始め姿を現す

エイチ「しもた!!」
マーキロット「はは!!所詮はガキだ!ここからはベテランの味を教えてやるよ!!」
ジュニア「なんだこの力は??逃げられない!!!」

エイチと二人でもがくジュニア

マーキロット「さぁ、おしおきだぁぁぁあああ!!!!!」

シュピーゲルを叩き伏せマウントをとるゼウスガンダム

ジュニア&エイチ「うわぁぁああああああ!!!!!!!!」
マーキロット「そぉれ!!」

シュピーゲルの胸ハッチを剥がそうとするゼウスガンダム

ジュニア「ま、まずい!!」
エイチ「東方不敗の技でなんとかできんか?!」
ジュニア「無理だ!!実は殆ど習ってないんだ!!」
エイチ「ほなインケツかぁ〜〜〜!!!」

万事休すの二人

マーキロット「はははは!!まずは動きを止めてやる!!」

ゼウスガンダムの手が輝き、ハンマーが現れる

マーキロット「裁きのぉぉおおお、イカヅチぃいいいいいい!!!!!!!!!!!」

シュピーゲル目指して振り下ろされるハンマー

ジュニア&エイチ「ぁああああ!!!!!」

覚悟を決める二人
だが、その瞬間、ハンマーが撃ち砕かれる

マーキロット「何??!!」

驚き見る一同
ゼウスガンダムの背後に巨大な翼が滑空してくる

翼を広げたネロスガンダムである

更にデビルガンダム四天王《天剣絶刀ガンダムヘブンズソード》へと姿を変える

ミケロ「けっ!!DG細胞のパワーを残してんのはお前だけじゃねぇんだよ!!」
マーキロット「おのれぇ!!まだくたばってなかったか!!」

ミケロに向き直るゼウスガンダム
そこへ虹色の輝きが襲い掛かる

ミケロ「喰らえ!!虹色の脚ぃぃいいいいい!!!!!!!!」
マーキロット「うわぁぁああああ!!!!!!!!!」

全身を深く切り込まれるゼウスガンダム
同時にシュピーゲルに背後から羽交い締めにされる

エイチ「どや!!ベテランの味!!!」
ジュニア「酸いか?甘いか?」
ミケロ「しょっぱいかぁあああ????!!!!!」

ヘブンズソードの巨大な足爪が正面からゼウスガンダムを捕まえる

マーキロット「う、動けん!!」
ミケロ「撃て!!チャップマン!!!」

一瞬、チャップマンの姿がジョンブルライフルに映り込み、弾丸を撃ち込むヘブンズソード

マーキロット「!!!!!!!!!!!!!」

崩れ落ちるゼウスガンダム

マーキロット「ま………まだまだ………」

最後のパワーで再生しようとするマーキロット

エイチ「ウチらのこの手が真っ赤に燃える!!」
ジュニア「お前を倒せと輝き叫ぶ!!」
エイチ「爆熱!!」

言いかけて、あっと気づくエイチ

エイチ「あ、その武器、付いてないわ」
ジュニア「かまへん!言うだけやったらタダじゃぁぁぁあ〜〜〜!!!!!」
エイチ「ほな、もういっぺん!!」
ジュニア「爆熱!!」
二人「ゴッドフィンガァァアアアア!!!!!!!」

シュピーゲルのエネルギーを衝撃波にしてゼウスガンダムに撃ち込む

エイチ「あんた、なまってたで?」

爆発するゼウスガンダム

ジュニア「一丁上がり!!」
エイチ「毎度おおきにぃぃぃ〜〜〜!!!!」

ガッツポーズを揃える二人
その前で朽ちていくゼウスガンダムのDG細胞

ミケロ「今度こそ最後だな………でっかいネオギリシャの………」

言いかけてヘブンズソードも崩れ倒れる

エイチ&ジュニア「ミケロ!!!」

駆け寄る二人

●ギルド本部

通信で報告を受けるボス

ボス「そうか………分かった、ドモン・カッシュがこちらに向かったんだな………後、その二人は放っておいていい………どうせ行き先は一つしかない………」

通信を切るボス

ボス「やはりマーキロットでは無理だったか………まあいい、獲物はどうせここに集まる………」

ワインを注ぐボス

ボス「それに、新宿になかったという事は………こちらの珠が本物に決定だ……!」

ワイングラスに映るボス《ウォン・ユンファ》
その手には一つの珠が輝いている

●エピローグ

二人に見守られ、瓦礫の上に倒れているミケロ
その胸にはDG細胞が燻るように輝きを鎮めていく

ミケロ「………どうだ?………お前らケガねぇか??」
ジュニア「うん、大丈夫だ」
エイチ「ホンマに助かったわ………」

心配げにミケロを見る二人

ミケロ「じゃぁ、これでドモンの野郎にも貸し借りなしだ………」

苦笑いのミケロ

ミケロ「さあ…後は好きにしな………ただし………ギアナは地獄だぞ………」
ジュニア「わかってる………わかってるよ」
ミケロ「………なら、いい………」

頷き目を閉じるミケロ
胸のDG細胞の輝きが完全に消えていく

エイチ「………………」

黙って見届けるエイチ

×      ×      ×

チャップマンのライフルを立てた墓標

それを背にして行くジュニアとエイチ

ジュニア「ところでさ、聞きたかったんだけど、どうしてお前、関西弁なんだ?」
エイチ「あぁ、パッパラ親父が嫌がるからオモロイねん!言うたら仕返しみたいなもんや!」
ジュニア「何の??」

ジュニアに向かって立ち止まるエイチ

エイチ「ええか?ウチはな、世界一、いや!宇宙一恥ずかしい少女やねん!
何せ宇宙のみんなが聞いてる前で、
《お前が好きだぁ〜〜〜!!お前が欲しい〜〜〜!!》や!!
で生まれてきたんがウチやねん!!あかん!よう言わんわ!もう〜やめてっちゅうねん!」

ゾクゾクする悪寒に耐えるエイチ

ジュニア「あ………それ動画で見た事ある………確か今でも再生回数トップだった」
エイチ「歴史の教科書にも載ってんねんで」
ジュニア「それはキツイな〜〜〜」

苦笑いのジュニア

ジュニア「で、お前………これからどうする?」
エイチ「勿論、一緒に行くに決まってるわ!」
ジュニア「それでドモン・カッシュを見つけたら?」
エイチ「やることは一つや!!それはあんたも一緒やろ?!」
ジュニア「勿論!父上の形見、東方の珠を取り返し!」
エイチ「おじい様が珠に残した秘密を解き明かし!」

エイチ&ジュニア「ドモン・カッシュをぶっ飛ばす!!!」

拳を合わせる二人
紅く染まった空に向かって響き渡る呵呵大笑

ストーカー「と………こうして二人は出会い、流派・東方不敗の故郷、ギアナの地へ向かいます………
そして、その世界を股にかけた道中では盗賊たちから村人を守り、
時として、旅の曲芸団の護衛をしたり、
はたまた、偶然手に入れた宝の地図を手に密林へと、
様々な冒険が待ち受けているのですが、
ここは兎にも角にもギアナの地へと急ぐことにいたしましょう。

では、次回が本当に最後のガンダムファイト!
ギアナの大地でレディ〜〜〜・ゴォオオオオオオ!!!!!!」

高らかに宣言するストーカー

 

第3部ギアナ高地編へ続く…